知らない21 ページ22
ゾムside
『…。』
「…それで、そのままで。誰も架詠さんのことを信じずにいて…彼女は、あの人は…、」
×
「______信じてたんです、これでも。皆さんのことを、さいごまで。」
「…どういうこと、やねん…。」
いきなり全員を屋上に呼び出した彼女は、自分を嘲笑うようにして話していた。
小刻みに震える手が、少しだけ破れていたスカートを強く握りしめる。
「それなのに、どうして信じてくれないんですか…?
たった一日で人格を決めつけるなんて、それだけで人を虐めるなんて、ばっかみたい。
そんな人を信じてた私の方が、もっと馬鹿ですけどね。
__________嘘つき。」
「っおい!」
「嘘つき」その一言を言ったあと、彼女はこの屋上から飛び降りた。
それぞれの悲鳴や叫び声が入り交じる屋上で、一人だけ無表情で落ちてく架詠さんを見ていた。
その表情が、あまりにも恐ろしくて。
それから、愛沢さんはクビになって、皆んな反省してたと思ってたんや。けど、な…
「もうあんな悲劇を繰り返さない」
「こんなことになるならこれからは誰も信頼しなければいい」
「仲間を裏切る者には罰を」
それぞれが、可笑しな方向に進んでいって、すれ違っていった。
気づいた頃には、昔のように笑顔で接することも少なくなっていて。それが特に変わることもなく、長い年月が経った。
それで、また、また俺は__________
『__さん、ゾムさん!』
「っ、……すまん、ほんと、学習能力なくてさ…。」
気が付けば身体が震えていた。
卑怯やなぁ、Aはそれよりずっと辛いことと一人で闘ってきたと言うのに、自分のこととなればすぐに弱くなって。けれど、それすら言いわけでしかないのだ。
「ショッピくんと、チーノ…A達はそれから三年くらい経ってから入ってきた。
その三年間、特に何もなくって。
みんな安心しきってたんやと思う。
だから、いとも簡単に騙された、…いや、信じ込んでまったんや、ほんと、すまん。」
俺はあの事件で、「もうこんな悲劇を繰り返さない」そう誓ったはずだったのに。
なんなら、俺が主犯のようなものだ。
一番、Aを傷つけて、苦しめた。
さっきは明るい気持ちになったけど、あれだけで済んでええ話やない。
下手すりゃまた同じことが起きていたかもしれないのに、猿以下かよ俺は。
『…私は、いいんです。
反省してくれればそれでいい。
けど、それで他の方まで傷付いたら嫌じゃないですか。』
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ネオンムーン(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます。とても嬉しく思います。 (2020年6月29日 5時) (レス) id: cbec7e84fa (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - 一人一人皆さんすごいです!だから私は私他の人は他の人ということで!気にしなくで大丈夫かなって思います!上から目線て失礼しました(笑) (2020年6月29日 1時) (レス) id: 5b80112fa8 (このIDを非表示/違反報告)
モブA(プロフ) - 闇夜さん» コメントありがとうございます!いやぁ皆さん凄いですよね、置いてかれないよう頑張らないとです…!これならも精進していきますのでどうぞよろしくお願いします!ありがとうございました!! (2020年6月28日 23時) (レス) id: b95d8c05d7 (このIDを非表示/違反報告)
ネオンムーン(プロフ) - 闇夜さん» あ分かりましたー!直しておきますね!ありがとうございます!ほんと皆さん凄いですよね…。それに比べて私は……。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: cbec7e84fa (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!!ちょっと白色のセリフが読みにくいかな〜なんて…ごめんなさい!これからも応援してます! (2020年6月28日 22時) (レス) id: 5b80112fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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