No.57 ページ8
彼に連れてこられたところは、全く見覚えのないビルで。
あたしは促されるように足を進め、社長室という部屋に足を踏み入れた。
「…それであたしに何をさせるの？」
部屋に入った途端、あたしは彼の手を振りほどき睨みつける。
??「まぁまぁ。そんなに慌てるなよ。これから君は僕のビジネスパートナーになるんだから。」
そう言って不気味に笑ったと思うと、そいつはソファにゆっくりと腰をかける。
…は？ビジネスパートナー？
何を言ってるのか分からないと言った顔でソイツを観ると、またしても背筋が凍るような笑顔を向ける。
??「僕が元々芸能界の人間だということは知っているだろ？…だから君にはそのお手伝いをしてもらうつもりさ。」
…あぁ、そういう事。
ようはアンタの金稼ぎ役ってことね。
呆れたという顔をして、彼を睨みつけるものの全く動じる気配もなく、彼はゆっくりと再び口を開いた。
??「君の歌唱力やダンス力がとても凄いことは知っているよ。レッスンなんてせずにすぐにデビュー出来る。…なんたって彼女の娘だからね」
「？！」
良くもまぁそんな事が言えるもんだ。
あたしは彼のその言葉にきっと睨みつける。
人の人生をめちゃくちゃにした奴が、なんでのうのうと生きてるのか、不思議で仕方なかった。
??「彼女は本当に優秀だったよ。…身体の相性も良かったしね」
「…うるさい」
この先、言うであろう言葉に耳を塞ぐように、あたしは反抗的な態度を取る。
だけど彼には聞こえてないのか、辞める気が無いのか、あたしに見向きもせず口を開いた。
??「だけどね、やはり線引きというのをちゃんと理解すべきだったよ、彼女は。その点に関しては俺の妻の方が優秀だった。…そうしたら彼女は、まだこの世界にいれただろうし、何より君という不幸を産まなくて済んだんだから。」
ガッ
殴りかかろうとして身を乗り出したあたしを、周りにいる側近の人達が押さえつける。
もちろん、その力に叶うはずもないけどあたしは必死に抵抗を続ける。
「うるさい！お前なんかに言われる筋合いはっ…！？」
??「…口の利き方を考えようか。今、僕達は対等じゃない事ぐらい学生の君でも分かるだろう？」
叫ぶあたしの髪の毛を鷲掴みにして、彼は今までにない冷たい目をあたしに向けた。
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みんぎ ARMY - のあさんの小説、好きです！ (2020年5月15日 10時) (
レス) id: 0f2332ca0a (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - さゆみさん» ありがとうございます！ぜひ他の作品も読んでもらえると嬉しいです！ (2020年3月30日 19時) (レス) id: b3b5882682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆみ - とてもいい話で感動してずっと泣いてました！ (2020年3月17日 0時) (レス) id: 30b5ba8ba9 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - ロゼさん» ありがとうございます！！！！感激です…！ (2020年1月17日 6時) (レス) id: b3b5882682 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ - 新作も読ませて貰いますw (2020年1月16日 22時) (レス) id: e951c39958 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘塩爺 | 作成日時：2019年12月27日 12時
