秋2 ページ33
健「ごめん、今日先生と話があって!悪いけど、先帰ってて!」
10月半ばの放課後。
健人くんは廊下で、両手を合わせて私の前に立っていた。
『あ、いいけど。』
ということは、一人になる。
誰と帰ろうかな。
こういう時に友達が居ないって泣ける。
久しぶりに、勝利と風磨誘ってみようか……
なんてことも頭によぎった。
勝利なら、今日部活ない日だし、多分最初はビックリするけど、快くOKしてくれるかな。
風磨は、「お前やっと素直になったなー笑笑」とか言って、もしかしたらまた元の関係に戻れるかもしれないし。
よし、ポジティブに考えよう。
健人くんにバイバイして、教室に戻る。
ふたりが帰る準備をしながら笑いあっていた。
その隣でさらに楽しそうにしてるのが結ちゃん。
私の場所がない。
私の場所は、いつの間にか結ちゃんになっていた。
それでも私は3人の方に向かおうとした。
そのタイミングで、風磨が私の立っている出入口を目指して歩いてきたので、私は足を止めた。
『ねぇ……』
風「そこ、どいてくんね」
『……ごめん』
明らかに態度が違う。
冷たい目で
笑わないで
私を見ずに。
風「なんか用あった訳。」
『……え、あの……一緒に帰ろうと思って……』
うまく口が動かない。
うまく笑顔が作れない。
嘘。
風磨ってこんなに冷たい人だっけ。
一緒に帰るなんて言った自分に後悔した。
・
風「……と帰れば。」
『……え?』
風「中島と帰ればいいだろ。俺は知らねぇっつった。そこ、どけ」
『……ごめん』
冷たい言葉に突き放され、私は謝ることしか出来ずに、
ただ、濡れていく床を俯いて眺め続けるだけだった。
風「ごめん勝利、結!帰ろーぜ!」
ふわっと私の安心する香りが横切ったと思えば、名前を呼んだのは勝利と
……結ちゃん?
しかも前までは「中本」って呼んでたのが。
勝利「行こ!」
結「お腹空いた!」
風「なんか食うかー?」
結「やったー!」
やっぱりお似合いだな。
ファンクラブみたいなのまである風磨と勝利の間には
可愛い子がいると絵になる。
『……なのに私は……』
通り過ぎる3人を見向きもせずに、
涙で暈ける目の前を、呆然と見つめていた。
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片寄涼太(プロフ) - 読みたいです♪ (2017年8月27日 11時) (レス) id: 4d2f3c55f6 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - お泊まりの話、ぜひお願いします(*^o^*) (2017年8月27日 7時) (レス) id: 736d61aef1 (このIDを非表示/違反報告)
おとめ(プロフ) - はい(*^^*) (2017年8月23日 23時) (レス) id: 78ed09e5e1 (このIDを非表示/違反報告)
FAKE(プロフ) - おとめさん» 初感想ありがとうございます!!!最後までよろしくお願いしますね! (2017年8月23日 22時) (レス) id: ee622e498f (このIDを非表示/違反報告)
おとめ(プロフ) - すごく面白いです!(*^^*)これからも、更新楽しみに待ってます! (2017年8月22日 16時) (レス) id: 78ed09e5e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:FAKE | 作成日時:2017年5月25日 20時