ベリー・ベリー・ストロベリー(黄)

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『…亮だ』

「ほら。やっぱり」





画面をじっと見つめてると


「出ぇへんの？」って
大倉が不思議そうに私を覗き込んだ。



『……あ、うん、出る』




『……もしもし』

” 今 どこ？ ”



『渋谷』

” まだ おーくらもおるん”



『うん』

” 今 Aんち前やねんけど”



『は？なんで？』

” はぁ？なんでって、鍵持って来たんやん”





いや、そんなことわかってるけど


わかってんだけど……





” やから、今すぐ来てや”




そう言い放った亮に

イラっとした




というか

嫌気すらさした







『……わかった』




多分 私 今ものすごく怖い顔してると思う





「なんやって？」

『今 うちの前にいるから 今すぐ来いだって』

「えぇっほんまに！？」

『でしょ！？』





いくらなんだって 勝手すぎる


だけど、家には入れないと困るから

行かないことには仕方ない






タイミングよく通ったタクシーをつかまえて

車に乗り込もうとしたとき




「なぁっ！A」



大倉がそう呼び止めるから

慌てて振り返る





『なに？

どしたの？

そんな怖い顔して』





「いや……

行くん」




『行くよ。

ありがとね、大倉』




「ぉん。

あ…亮ちゃんに、よろしく」





そう言った頃には

いつもの大倉のへらへらした笑い顔になってて




『うん、じゃね』



気のせいか。って


思ったんだ。





そして、タクシーの中で



《今、向かってる》


って

なんとも素っ気ないメールを 亮に送った。








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