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見慣れた道を歩いていけば、辿り着いたそこは間違いなく自分の部屋だった。
大学入学と同時に一人暮らしのために借りた、学生向けのマンションの一室。
中に入ってザッと見渡した限り
家具の配置、服や食器等の所有物も私のもの。
スマホのデータも、大学の履修も、バイトのシフトも、ぜんぶ私が記憶していたまま。
基本的な情報は現実世界と変わらない、というのは本当のようだった。
使い慣れたパイプベッドに横になり、オフホワイトの天井を見つめる。
いつもと変わらない景色。変わらない匂い。
「夢と現実の狭間……」
実際はさっきまでのことが夢で、ひょっとしたらもう元の世界に戻ってたりして。
それか、このまま眠って次起きた時には「やっぱ夢だったじゃん」って思えるかも。
ウッドラックの上のミラークロックに目をやれば、
時刻は21時をまわったところだった。
「……あれ？」
不意に違和感を感じて上半身を起き上がらせる。
幅1メートルほどのラックの上にインテリアとしてサイドに飾っている手のひらサイズの観葉植物と、クリスタルガラスの内部に3Dの月が浮かぶ透明なオブジェ。
その横に置いてある時計が、不自然に片端に寄っている。
バランスの悪い配置。
真ん中にぽっかり穴が空いたようなスペースに首を傾げる。気づかないうちに物が当たったかなんかで動いてしまったのかもしれない。
時計を真ん中にポンと置き直して、再びベッドに身を投げ出す。
───基本的な情報は現実世界と変わらないよ。住んでる場所や大学やバイト先、家族や友人もね。ただ、
───君の大切なものは、僕が預かってる
悪魔のような天使の言葉を脳内に呼び起こしながら、自分の置かれた状況を整理していくうちに、頭を使いすぎたのか自然と瞼が重くなってきた。
脱出ゲーム…運命の相手…謎のイケメンズ…
そういえばプログラミングってどういうことだろう…
あわよくば、すべて夢であって…幻想で終わって…
眠りに落ちる直前に力なく祈った願いは、
翌日、大きな叫び声と共に見事に砕け散った。
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マラム - 初めまして！とても素敵なストーリーで最後は少し涙ぐんでしまいました笑(*´∇｀)是非、続編も読んでみたいです。宜しくお願い致します！ (2022年2月14日 16時) (
レス) id: 4a6419f64c (このIDを非表示/違反報告)
非常口(プロフ) - 香奈さん» 香奈さん コメントありがとうございます。読んでくださり、嬉しいお言葉までくださって本当に愛感謝です(* . .)"今後も温かく見守っていただけたら幸いです。よろしくお願いします！ (2021年9月23日 13時) (レス) id: 2fe7817164 (このIDを非表示/違反報告)
香奈 - 初コメント失礼します。こちらのお話とっても面白くて夢中になって読ませていただきました！とっても読みやすかったです♪また更新を楽しみにしていますねヽ(´▽`)/ (2021年9月23日 8時) (携帯から) (レス) id: ab01dcd0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2021年9月22日 19時
