#41 ページ41
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海人くんが口を開くまでの僅かな間に
いろんな考えを巡らせた。
人の誕生日を知る機会なんて、本人から聞くか、人づてに聞くか、生年月日が記載された何かをたまたま目にするくらいしかないはずで。
これまでの海人くんとの関わりを考えて
いろんな可能性を消去していって
いくつか残った選択肢を頭の中に並べた。
だけど彼が口にした答えは
その中のどれにも当てはまらなかった。
『この前飲んでたらたまたま誕生日の話になって、その時に教えてもらったの』
「誰に…？」
『ジンだよ』
じん…ぐうじくん…？
小さな疑問が新たな謎を生み、脳内が高速回転を始めるも答えには辿り着かない。
神宮寺くんに誕生日の話をした覚えはないし、海人くんとの限られた共通の知人であるイケメンズともそんな話をしたことはなかった。
いつかバーで潰れてしまって岸くんに家まで送ってもらった時も、岸くんは神宮寺くんに言われて財布の中身は見てないって言ってたし、他に思い当たる節は……
考える前に足が動いた。
もう何度も訪れたあの場所へ。
扉を開けばいつだって笑顔を向けてくれる彼の元へ。
この些細な疑問の答えをみつけたら
その先に何かがあるのだろうか。
移りゆく季節と共に
私もここではない違う場所へ行けるだろうか。
それとも、ただ流されるだけだろうか。
『Aちゃん？』
信号待ち。
同じ方向に進む人の流れがピタリと止まったとき、
その声は思わぬ方向から聞こえてきた。
『こっちこっち！ここ！』
振り返れば、交差点の手前でバイクに跨った男の人が、フルフェイスのヘルメットのシールドを上げてこちらに手を振っていた。
白い歯は見えなくとも優しく細められた目元が覗くだけで、いつもの爽やかな笑顔が頭に浮かぶ。
今まさに会いに行こうとしていた神宮寺くんだった。
彼は左に出していたウインカーを消すと、交差点の向こうに見える前方の公園を指し示すように私に合図した。
信号が青に変わり、
走り出したバイクは私を追い越していく。
駆け足で横断歩道を渡って公園へと向かえば、
『Aちゃーん！』
ベンチ横にバイクを止めヘルメットとグローブを外した神宮寺くんが、無邪気にこちらに手を振っているのが見えた。
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マラム - 初めまして！とても素敵なストーリーで最後は少し涙ぐんでしまいました笑(*´∇｀)是非、続編も読んでみたいです。宜しくお願い致します！ (2022年2月14日 16時) (
レス) id: 4a6419f64c (このIDを非表示/違反報告)
非常口(プロフ) - 香奈さん» 香奈さん コメントありがとうございます。読んでくださり、嬉しいお言葉までくださって本当に愛感謝です(* . .)"今後も温かく見守っていただけたら幸いです。よろしくお願いします！ (2021年9月23日 13時) (レス) id: 2fe7817164 (このIDを非表示/違反報告)
香奈 - 初コメント失礼します。こちらのお話とっても面白くて夢中になって読ませていただきました！とっても読みやすかったです♪また更新を楽しみにしていますねヽ(´▽`)/ (2021年9月23日 8時) (携帯から) (レス) id: ab01dcd0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2021年9月22日 19時
