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それでも私はそんな理不尽に逆らわなきゃいけない。
この世界から抜け出すたった一つの方法は、それしかないんだから。
『あれ？なんか久しぶりじゃない？』
定休日のリベンジで開いた扉の先で、神宮寺くんは今日も白い歯を覗かせた。
私にとっては手放すことのできない頼みの綱。
私の人生は彼にかかっていると言っても過言ではない。何とかしてこの人と結ばれなければ。
今のところ勝算はないけれど。
『どうしたの？何かあった？』
「うーん。ありすぎて、何もない。いや、あるっちゃあるんだけど」
『なーにそれ。俺でよければ何でも聞くよ？』
話したい。本当は全部話してしまいたい。
その上で「一瞬でいいから私を好きなってください」なんてトンチンカンなお願いをしてしまいたい。
でもこの世界のことを話したらゲームオーバー。元には戻れない。それがルール。それだけはできない。
『何かおもしろい話でもする？』
全身からどんよりオーラを放出していたであろう私に、空気を変えてくれるように笑いかけてくれた神宮寺くんは、頼んでいないウーロン茶を目の前にポンと置いてくれた。
『あ、そうだ。この前岸くんが来たんだけどさ、手になんか持ってるなって思ったら、カメ持ってんの！やばくない？』
「カメ？カメって亀？」
『そう。小さいプラケース持ってさ、そこの扉入ってきて、超ニヤニヤしながら��ついに買っちゃいました��って。マジでびっくりした』
なんだか容易に想像できる絵面に思わず頬が緩む。
「バーにカメってミスマッチだね」
『いや、そこ？まあ俺も思ったけど。持ってくるの普通にやばくない？俺ん家に遊びにきてるんじゃないんだからさ。でもここペット禁止とか掲げてるわけでもないからダメとも言えなくてさ、』
キッチン側からカウンターに身を乗り出した神宮寺くんが、テーブルの端っこを指さす。
『仕方ないからここに置いてもらったんだけど、岸くん飲んでる間カメずっとカタカタいってんの！俺もう笑い止まらなかったわ』
今も目一杯表情を崩して楽しそうに笑う神宮寺くんは、いつも大人びている分、公園ではしゃぐ子供のように幼く見えた。
「岸くんもそんなに見せたかったんだね」
『ずっと前から飼いたいって言ってたから嬉しかったんだろうね。今いちばん大切なものらしい』
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マラム - 初めまして！とても素敵なストーリーで最後は少し涙ぐんでしまいました笑(*´∇｀)是非、続編も読んでみたいです。宜しくお願い致します！ (2022年2月14日 16時) (
レス) id: 4a6419f64c (このIDを非表示/違反報告)
非常口(プロフ) - 香奈さん» 香奈さん コメントありがとうございます。読んでくださり、嬉しいお言葉までくださって本当に愛感謝です(* . .)"今後も温かく見守っていただけたら幸いです。よろしくお願いします！ (2021年9月23日 13時) (レス) id: 2fe7817164 (このIDを非表示/違反報告)
香奈 - 初コメント失礼します。こちらのお話とっても面白くて夢中になって読ませていただきました！とっても読みやすかったです♪また更新を楽しみにしていますねヽ(´▽`)/ (2021年9月23日 8時) (携帯から) (レス) id: ab01dcd0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2021年9月22日 19時
