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『調子はどう？』
大学の空きコマの時間。
例の如く突然現れた天使は、堂々と食堂のテラス席に座り、私のお弁当のタコさんウインナーを口の中へと連れ去っていった。
「聞かなくても全部見てるんでしょ？」
『まあね。それなりに楽しませてもらってるよ』
「こっちは散々だよ」
これまでのことを思い出すだけで溜め息が出る。
なんの進歩もない。
むしろ後退し続けている気さえする。
今度はから揚げに伸びかけた手を制止すれば、ムッと口を尖らせて、その代わりに横に置いてあるココアを手に取った。
「あったか〜い」なんて言いながら大福みたいな白い頬にボトルをあてる天使を眺めていれば、悩みの種がじわじわと芽を出す。
「…あのさ、廉くんって何者なの？」
『何者って？』
「よくわからないことで怒ったり、笑ったり、訳わかんないこと言い出したり…なんか掴めないっていうか」
『気になる？』
「気になるというか…うーん…気になる…か。いやっ、べつにそういう意味じゃないよ！？だって私本当は紫耀くんが…」
自分でも驚いた。
その名前を口にするまで、今の今まで忘れていた。
廉くんに手を引かれながら遠ざかっていった、
彼と、彼に取り巻く甘ったるい香水の匂いを。
「ね、ねぇ！あのあと紫耀くんって…？どうせ知ってるんでしょ？」
『あ〜紫耀ね〜』
何かを思い出すように視線が左上に向いて、細まったタレ目と浮かび上がった笑窪がいつもの悪戯な笑みを作り出す。
『あれはこっちが恥ずかしくて見てられなかったなあ』
「それって、やっぱり…」
天使はニヤリと笑うだけだった。
想像するのも嫌になる。
でもそんなこと予測できてたことじゃん。
だから私は神宮寺くんを選ぼうとしてるんだもん。
「このゲームって残酷だね」
『そう？』
「好きでもない人を無理やりにでも好きになるために誰かを選ばなきゃいけないなんて。運命の人と結ばれたらクリア、なんてロマンチックな感じするけど、実際のところ無慈悲だよね」
自分で言ってて悲しくなった。
どんなハイスペックイケメンを並べられたって、「この中の誰かを好きになって、その人にも好かれてください」なんて言われても、上手くいくはずがない。
仮にどんな計画を立てて作戦を練ったところで、自分の気持ちも、誰かの気持ちも、思い通りに動くわけがない。
誰かを好きになるって、理屈じゃないんだから。
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マラム - 初めまして！とても素敵なストーリーで最後は少し涙ぐんでしまいました笑(*´∇｀)是非、続編も読んでみたいです。宜しくお願い致します！ (2022年2月14日 16時) (
レス) id: 4a6419f64c (このIDを非表示/違反報告)
非常口(プロフ) - 香奈さん» 香奈さん コメントありがとうございます。読んでくださり、嬉しいお言葉までくださって本当に愛感謝です(* . .)"今後も温かく見守っていただけたら幸いです。よろしくお願いします！ (2021年9月23日 13時) (レス) id: 2fe7817164 (このIDを非表示/違反報告)
香奈 - 初コメント失礼します。こちらのお話とっても面白くて夢中になって読ませていただきました！とっても読みやすかったです♪また更新を楽しみにしていますねヽ(´▽`)/ (2021年9月23日 8時) (携帯から) (レス) id: ab01dcd0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2021年9月22日 19時
