アメフリレインボウー2ー (ページ34)

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#34 pouring ページ34

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学校外に出れば重苦しい気分から

多少は解放されると思っていたけれど

そう簡単にはいかなかった。

情報が廻る世界は広く、だけど世間は狭くて

登下校をしていれば近辺の他校の生徒から

向けられる目は学校にいるときと変わらなかった。

そうなればもちろんバイト先でも同じで。

誰が敵だなんてもはや見定めるまでもない。

周りの全員が敵に見えるし、実際そうだった。

ただ一人、髙橋くんを除いては。

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『Aちゃん、今度いつ入れそう？』

バイト終わりの休憩室。

部屋の片隅にある更衣室から、エプロンやらの

バイト着一式を片手に出てきた優しい笑みに

いたたまれない気持ちになる。

あの写真が出回って以来、髙橋くんは何も訊かずに

私にシフトを合わせてくれるようになった。

それに加えて、それまで二人が一緒のときには

私が主にレジ、髙橋くんが片づけ

つまり私が表、髙橋くんが裏で仕事をしていたけれど

それも自然と逆になっていた。

私の置かれている状況を汲んで

外部との接触を避けようとしてくれていたことも

いつもと変わらず優しく接してくれていたことも

その時の私には唯一の救いで、心の支えだった。

「髙橋くん。…ありがとう」

溢れるように口からこぼれた想いに

ロッカーに着替えをしまっていた広い背中は

呟くようにただ一言

『なにが』

そう言うと、扉を閉めて振り返った顔は

やっぱりいつものように優しく微笑んだ。

まるで、

＂俺は何も知らないよ＂

とでもいうような表情を浮かべて。

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