アメフリレインボウー2ー (ページ43)

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#43 pouring ページ43

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──これ以上廉くんに関わったら

永瀬くんは、こんなところにいちゃいけない。

理不尽な悪意に飲まれちゃいけない。

だって君は、

たくさんの人に光を与えることができる人だから。

私なんかが、永瀬くんに迷惑はかけられない。

決めたんだ。

私は、弱くて、脆くて、無力で

特別なものなんて何も持っていないけれど

永瀬くんを守ることができるなら──

『もしかして、……泣いとる？』

ずっと哀しみを隠してくれていた雫も

いつのまにか勢いをなくしていて

そろそろ、タイムリミットみたい。

「泣いてないよ。」

『ほんまに？』

「うん、本当に。ありがとう、心配してくれて。

ほら、永瀬くんも濡れちゃってるから

早く帰って暖まらないと。」

大丈夫。いつも通りの声で言えてる。あと少し。

ほんのちょっと訪れた沈黙が

まだ胸の入り口に彷徨う迷いを揺さぶる。

必死に押し込めて、押し込めて。

気を緩めれば、溢れ出してしまいそう。

『あのさ、Aちゃん、』

「永瀬くん」

だから、その前に。

「ほんとにありがとう。……ばいばい。」

最後まで永瀬くんの顔も見ずに

彼が差し翳してくれていた傘の下から抜け出して

走り出した漆黒の雨空の下。

背後で私を呼ぶ、悲しいほどに澄んだ声は

雨音のせいにして聞こえないフリをした。

横を通り過ぎる車が水を跳ね

タイヤが雨を踏む騒音に包まれながら

胸に抱える想いのすべてを振り切るように

ただひたすらに走り続けた。

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