アメフリレインボウー2ー (ページ16)

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#16 nimbostratus ページ16

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目の前に差し出されたミニサイズのペットボトル。

誰かに使われているのかもわからない

ぽつんと存在している自動販売機で

彼がたった今買ってくれたものだ。

『俺、明日も早いんやけどなー』

そう言いながら自分の分のジュースの蓋を開けて

近くに積んであったプラスチックのビールケースに

腰掛けた永瀬くんの言動の裏に隠されたものは

私の胸の綻びをそっと紡いでくれた。

永瀬くんに会いたいと思っていた。

軽快な口調で、優しくて柔らかい声で

豪快な笑い声を織り交ぜながら

くだらない話をしてほしいと、そう思ってた。

そう思っていたはずなのに

私のちっともおもしろくない話を

聞いてくれる側に回ってくれた彼に

これまでに起こった事実もそれに伴う自分の感情も

包み隠さず全て打ち明けた。

話していくうちに、ごちゃごちゃだった胸の内が

少しずつ整理されていく。

そして気づいた。

あの日、髙橋くんに触れられた瞬間に

溢れ出た涙の理由も

その場から逃げ出してしまった理由も。

「…ショックだったんだと思う。

ずっとバイト仲間で、友達だったから」

髙橋くんは、友達以上でも以下でもないけれど

いつだってみんなを優しく包み込んでくれる

私にとって、大切な人でもあった。

だから、どうすればいいかわからなくて

もう前みたいな関係には戻れなくなる気がして

怖かったのもある。

だけど

「それにそういうのって、一方的なんかじゃなくて

両想いの相手としたいって思うから」

怖いのと同じくらい、悔しくて、悲しかった。

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