アメフリレインボウー2ー (ページ12)

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#12 nimbostratus ーRenーページ12

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肌に突き刺さるような真夏の陽射し。

大勢の群集から放たれる熱気。

そんなバカ暑い空間の中で

吹き出す汗を流し続けながら笑顔を振り撒く。

夏休みのほぼ全部をこの仕事に捧げる俺の

高校生活の夏の思い出も青春もきっと

この時間と目の前に広がるこの景色になるんやろな。

悪くない。

やりがいがあるし、楽しいし、学べることもあって

友達とはまた少し違う仲間たちと

頑張って何かをやり遂げるって、部活みたいで。

ステージの上に立つ自分にもだいぶ慣れてきた。

歌もダンスもトークも、なんなら食リポまで

上手いかどうかは置いといて

今俺ができる全力を注いで

それなりに次々とこなしていく。

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この日も入っていたテレビ局のカメラのモニターを

時々確認しながら＂俺、今日もちゃんとやれてる＂

って。お客さんの前でトークを進めていた矢先

俺はモニターを思わず二度見した。

数秒間映ったオーディエンス席。

その向こう側。

人が行き交うその奥の通路に、知っている人の姿。

パンダちゃんやん。

たまたま友達と遊びにでも来たんやろうか。

切り替わったモニターから目を離して

さりげなく遠くに移した視線。

さっき画面越しに見ていた彼女の姿を捉えたとき

一人の男が彼女の手を引いて歩いていくのが見えた。

あいつ、見覚えある。

あのソース顔、よく覚えとる。

なんや、二人付き合っとったんか。

それなら言ってくれたらよかったのに。

文化祭の日、

俺が二人を邪魔したみたいになってもうたやん。

まあ、わざわざ俺に教える必要もないか。

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あっという間に消えていった小さな影。

その残像に感じた違和感の理由は

何なのかわからなかった。

次の日も、その次の日も

仕事をこなしながら消えるのことのなかった

痼のようなものを胸に抱えたまま

やっと迎えた貴重な休日。

俺はいつの日かのように

パンを買うなんて目的は欠片も持たずに

彼女の働くパン屋へと足を運んでいた。

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