アメフリレインボウ (ページ33)

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#33 drizzling ページ33

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すっかり暗くなった夜の外。

いつも通りの景色。

今日も相変わらず生憎の雨だ。

髙橋くんと一緒にお店を出ると

あの日から欠かさず持ち歩いている傘を開いた。

帰る方向が違う彼とは、お店の前で別れる。

いつも通り＂お疲れさま＂の言葉をかけて

背を向けようとしたとき

髙橋くんがポツリと言った。

『そういえばさ』

「ん？」

『この前お店に来てたのって…』

そこで言葉を詰まらせた。

おそらく永瀬くんのことだろう。

彼がアイドルという面を持った

複雑な立場の人間だから躊躇したのだろうか。

かといって、私も彼が誰かと聞かれれば

＂クラスメイト＂としか答えない。

その人が彼の存在を知っていようがいまいが

それ以上を話す必要はないから。

だけど髙橋くんが振り絞るようにこぼした一言は

予想の遥か斜め上から頭上に落っこちてきた。

『……彼氏？』

「えっ！？ち、ちがうよ！全然違う！」

『友達？』

「そう、友達！ただの友達！」

あれ？

私、今、友達って言った？

ああ、そっか。

髙橋くんの言葉に流されたんだ。

『なーんだ、よかったぁ』

なぜか安堵した様子を見せた髙橋くんをみて

今度は頭にハテナが浮かぶ。

「…なんで？」

素直に問いかけたものに対して

彼は何でもない顔をして言葉を返してきた。

『まだ俺にもチャンスあるってことじゃん』

……ん？

どこかで聞いたことあるようなセリフ。

ドラマだっけ？漫画だっけ？

＂チャンス＂って、なんのチャンスのことだっけ？

空っぽの頭であれこれ考えているうちに

『じゃあまたね！気をつけて帰ってね！』

なんて、お決まりのフレーズが耳に届いて

夜闇の中でも眩しく光る笑顔を浮かべながら

無邪気に手を振る彼に

無心のまま手を振り返した。

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