アメフリレインボウ (ページ29)

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#29 drizzling ページ29

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＂いいよ＂

「えぇ！？」

後日店長から返ってきたのは

あっさりOKの返事だった。

相当な手間がかかる上に

ほとんど利益も生まれないことも説明したけれど

＂うちの店のパンが少しでも多くの人に届くなら＂

なんてジャムおじさんみたいに穏やかなことを言って

(見た目も若干ジャムおじさん)

いつやるの？何パン？何個必要？などと

質問攻めにあうくらいには

しっかり気合いまで入ってしまっていた。

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「了承だそうです…」

『ほんま！？まじで！？っしゃぁぁあ！！！』

学校に来た彼にそのことを伝えれば

ただでさえそこに居るだけで注目を浴びる彼は

バカでかい声を教室内に響かせて

バカみたいな数の視線を一気に集めた。

「ちょっ、うるさい！」

会話の相手であるこっちにまで目が向けられて

そこには悪意のような

濁りを含んだものまで紛れているのだから

本当にやめて欲しいのだけれど。

『ほんならさ、今日にでも店行っていい？』

「えっ、今日！？」

『あれ、バイトちゃうの？』

「バイトだけど…」

『ならええやん！決まりやな！』

文化祭準備の大元を頼まれて

文句を垂れていたはずなのに

妙に活き活きしているのは気のせいだろうか。

今日も彼の勢いに押されながら

そして痛々しく刺さる周囲からの視線を感じながら

私は何の抵抗もできないまま

満足そうな顔を浮かべる彼の言葉を

渋々受け入れることしかできなかった。

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