#19 drizzling ページ19
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モヤモヤした気持ちのまま過ごした午後の授業。
前に座る華奢な身体を見つめて頭を抱えては
時々出るくしゃみと鼻水の処理を繰り返し
ついでに眠気とも戦い
短い帰りのHRも終えると一気に気が抜けた。
なんだか今日はどっと疲れた。
幸い、今日はバイトは入っていない。
寝よう。
帰ったら倒れ込むようにベッドへダイブして
そのまま寝てしまおう。
なんか、そんな気分。
教室を出て、まっすぐ家へ帰って、
自分の部屋に入って…
そこまでの流れを頭の中でイメージしてから
薄い背中を横目に足早に学校を出た。
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胸に残るモヤモヤを抱えながら
慣れた道をひたすら歩く。
大抵のことは眠ってしまえば
ある程度スッキリするものだから
一刻も早く目を閉じて
一度この世界から目を背けて…
そうすれば次に起きたときには
心も体もスッキリ晴れているはず。
そのはずだったのに。
相変わらずパッとしない空を見上げたとき
また余計なことが頭をよぎってしまった。
──傘。置いてったんやけど
昨日見た寂しそうなひとりぼっちの傘が
はっきりと脳内に浮かび上がったとき
気づけばポケットからスマホを取り出していた。
「えーっと…」
画面に広がるいくつもの数学や天気のマーク。
今日このあとの天気は、曇りのままだ。
そして、その先の時間の予報を目で辿っていけば
「……雨じゃん」
深夜から明日の朝にかけて並ぶ雨マークと
その確率としてはほぼ確実を表す数字を目にして
梅雨を恨んだ。
今までよりも強く恨んだ。
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#20 drizzling→←#18 raindrop ーRenー
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作者名：N | 作成日時：2020年8月14日 21時
