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転校してきて間もない頃

訊かれた質問はいっぱいあったけど

なんでこのタイミングで転校して来たのか

っていう質問には、＂引越し＂とだけ言って

あとは適当に答えてた。

だけど、こっちにきて

1週間くらい経った日の学校からの帰り道。

俺は初めて、誰かにその理由を話した。

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後ろから肩をポンと叩かれ振り向くと

神「よっ！」

やっぱりいつものアイドルスマイルのジンが

そのまま俺の横に並んだ。

神「家こっちなんだ？」

俺の勝手なイメージだけど

放課後は毎日女の子と遊ぶって訳じゃないんだな

と思いながら、目線より少しだけ高い位置にある

ジンの横顔を眺める。

『ジンもこっちなんだ？』

神「いや、俺はこれから駅前のカラオケで合コン！」

イメージ通りだった。

神「紫耀も今度きてよ！絶対盛り上がるからさ！

なんなら今から一緒いく？」

急に目の色変えて嬉しそうにはしゃぎだしたジンに

このまま連れて行かれたところで

嫌な予感しかしないし。

『いや、遠慮しとくわ』

何か予定があった訳じゃないし

彼女がいる訳でもない。

だけどそのとき頭をよぎったのは

なぜかAちゃんの顔だった。

神「……紫耀ってさ、」

そんな俺の心をまさか読めるわけもないのに

さっきとは打って変わって真剣な顔をして

こっちを見ていたジンをみて少し動揺する。

神「前の学校で、なんかあった？」

『へっ？』

突然のその言葉に一瞬面食らったものの

いつもおちゃらけてるジンの

俺を見透かすような真剣な眼差しに、悟る。

ジンは俺が転校の理由をみんなに訊かれるたび

なんとなく濁していたことに

気づいていたんだと思う。

そして、それをわざわざ

2人だけしかいない今この時に聞いてきた。

実は周りをよく見ていて

さり気ない気遣いができる優しい奴だって

そのとき知った。

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