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ある程度の話を終えると

ジンが隣で大きくため息をついた。

神「俺はてっきり上手くいってるのかと思ってた。

なんか、俺のいないとこで事件起きすぎじゃね？」

『でも、いいきっかけになったと思う。

俺は異世界的なとこに行くのが正解なんだよたぶん』

神「なんだよそれ」

遠くの世界で、一度頭を空っぽにして

のめり込める何かにひたすら没頭してれば

きっと恐れるものはない。

神「いつ行くの？」

『二週間後』

神「は！？なんでまたそんな急に！？」

『たまたま空いた枠に誘ってくれただけだからね』

学校は？期間は？アメリカのどこ？帰ってくるよな？

と、立て続けに質問をぶつけてくるジンに

一つずつ淡々と答えていく。

そして最後のその問いだけは

静かに、慎重に、ゆっくりとこぼされた。

神「……Aは？知ってんの？」

『言ってない。言うつもりもない。』

神「なんで？」

『Aちゃんに会ったら、たぶん俺、

また揺らいじゃうから。もう迷いたくないんだ。』

彼女がどんな反応をするかはわからないけど

無理やり蓋をして胸の奥にしまった想いが

また溢れ出てしまうことが怖かったから。

納得のいってない様子のジンが

何かを考え込むようにしばらく黙りこんだあと

吹っ切れたように顔を上げた。

神「わかった。俺は紫耀が戻ってくんの待ってるわ」

頑張れよ、といつものアイドルスマイルを向けてきた

ジンは、やっぱり大人だと思った。

神「そういえば紫耀も、結局ずっとAから

＂平野くん＂呼びのまんまだったな！」

嬉しそうに満足気な笑みを浮かべるジンは

相変わらずAちゃんのことになると楽しそうで

神「俺は紫耀が戻ってくる頃にはとりあえず＂ジン＂

って呼ばせてみせるわ。それから＂勇太＂だな」

『ジンは一生＂神宮寺＂でしょ』

Aちゃんがジンを＂勇太＂と呼ぶ姿を想像して

堪えきれなかった笑いを必死で押し殺しながら

ムキになって俺の足を軽く蹴ってきたジンに

心の中で祈るように呟いた。

Aちゃんのこと、頼んだよ、ジン。

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