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終始鋭い目つきを向けられて次々と放たれた言葉が

胸に突き刺ささったまま

じわじわと痛みが広がっていく。

Aちゃんが＂れん＂と呼ぶ関西弁の彼の

俺に向けられた目。冷酷ながらも熱を持った言葉。

それがなにを語っているのか、すぐにわかった。

きっと俺なんかよりずっと前から

Aちゃんの傍にいて

Aちゃんをずっと大切に想ってきたんだろう。

「なんかごめんね！」

彼が去っていく後ろ姿を

しばらく見ていたAちゃんが振り返った。

その声も表情も決して暗いものではなかったけど

きっとそれは彼女の優しさで

俺はそんなAちゃんを

守るどころか悲しませてばっかりで

『俺の方こそ、ごめん』

「平野くんは何も悪くないって！気にしないで？」

こんなときでも笑顔を見せてくれるAちゃん。

もう大切な人を誰も失いたくなくて

誰も傷つけたりなんかしたくなくて

ひとりでこっちに来たのに

いつのまにか大きくなっていたその存在を

俺の自分勝手な感情の渦に巻き込む訳にはいかない。

──これ以上、こいつのこと傷つけるんやったら

何度ももがいて抜け出そうとした孤独な世界。

その度にあと一歩のところで

見失ってしまったその光は

もう射し込むことはない気がした。

『やっぱり俺、ダメなのかな…』

再び閉ざされた暗闇の底。

不安そうに俺を見つめるAちゃんに

せめてもの笑顔を向ける。

きっともう、ここからは抜け出せない。

それでも

今、目の前にいる大好きなAちゃんを

大切に想って守ってくれる人が

そばにいるとわかっただけで充分だ。

『もう遅いし、帰ろっか。送ってく』

無言で頷いたAちゃんの隣に肩を並べる。

こうして横に立つのも、これで最後にしよう。

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