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#Search.42 ーRenー ページ42

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薄暗い中でもわかるその風貌から

Aが言ってたことはなんとなくわかる。

俺に匹敵しそうな、いかにもモテそうなやつ。





だけど、やっぱりこいつのことは気に入らん。





前にAにようわからん態度とって傷つけとるし

今日もAを一人にして危ない目に合わせとる。





いくらAがこいつのことを好きでも

俺からすれば我慢の限界だった。






「平野って、おまえやんな?」






Aと海人の間を無理やり割って入った先の

平野の前に立つと、その目はまっすぐ俺を見据えた。






「俺らがいなかったら

こいつ、どうなってたかわからんで?」




『平野くんのせいじゃないし!

結局無事だったんだし!いいじゃん!』






隣で慌てたようにAが並べた言葉は

俺には響かない。






「そもそもさぁ。告るだけ告って

Aのことあんだけ泣かせといて、今度は

危ない目に合わせるって、どういうつもりなん?」




『ちょっ、廉!』






Aの意見は関係ない。

俺が知りたいのは、平野がどう思っとるか。






「泣かせた…?」






驚いたようにAに視線を移した平野。





Aがあのとき

どんだけ辛い思いしてたかなんて知らんくせに。

そのとき傍におったのは俺なのに。






「学校の人気者かなんか知らんけど

ちょっとモテるからって

Aこと弄ぶのもいい加減にせえよ」






なんでAの目に映るのは、俺やないんやろう。






「これ以上、こいつのこと傷つけるんやったら…」




『廉、もうやめて。

平野くんは、なにも悪くないから』






なんでAは、こんなやつのこと庇うんやろう。






一段と深まった夜。

Aの浴衣の袖が、そっと揺れた。

夏の風は、こんなに冷たかっただろうか。






「アホくさ」






耐えられんかった。

Aの気持ちは、完全に平野に向いてる。

こんなん、負け戦みたいなもんやん。

こんなとこいても、惨めなだけやん。






何も言わずに俯いたままの平野と

悲しげな目つきで俺を見つめるAに背を向けて

屋台の灯りとは反対方向の

元来た道へと、足早に歩を進めた。





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megminmg1225(プロフ) - 時々名前設定が未来ちゃんになっているのを、直してくれると嬉しいです。これからも応援してます^^ (2019年12月13日 0時) (レス) id: 32c6f54378 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:N | 作成日時:2019年11月26日 22時

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