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#Search.31 ーRenーページ31

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聞きたかったその声が聞こえたら聞こえたで

緊張が高まって狼狽える。

「おう、俺やけど。今へーき？寝とった？」

『んー、大丈夫。どうしたの？』

たぶん寝てたらしいAの間抜けな声が耳に届いて

頬が少し緩んだ。

「んーまぁ、弟から連絡あってな。

結局、どうなったんかなーって思って」

内容を伝えないまま話を切り出すと

弟の無駄に早い情報伝達に察したのか

少し間を置いてから

ちょっと怒ったような声色が返ってきた。

『…だから、どうにもなってないって』

「でも告られたんやろ？」

焦る俺とは対照的に

寝起きでのんびりしとるAのレスポンスが遅くて

もどかしい気持ちで待っていると

俺の聞きたい答えとは程遠い

予想外の言葉が返ってきた。

『廉はさ、もし好きな子がいて

その子も自分のことが好きだったらどうする？』

唐突な言葉に一瞬焦りながらも

電話の向こうにいるその顔を思い浮かべる。

Aが俺のことを好きだったら……

「そんなん、

お互い好きなんやったら付き合うやろ』

俺の答えが期待してたものとは違ったのか

Aが黙り込んだ。

「そういや、この前Aに絡んでた子ら

あいつは誰とも付き合わない、とかなんとか

言ってたよな？告るだけ告っておわりってこと？」

俺が知りたいことを

今すぐにでも聞きたい答えを

「だからどうにもなっとらんの？」

できれば俺が望む形で返してほしいと願って──

まだ寝ぼけとるのか

変わらず無言のままのAに投げかけた問いに

電話越しに返ってきたのは

小刻みに息を吸い込むと同時に

かすかに鼻をすする音だった。

「A？どした？」

なんでかわからんけど、泣いとる。

何も言葉を返さないAの

だんだんと大きくなる啜り泣く声に

反射的に体が動いた。

「すぐ行くから、ちょっと待っとって」

すぐに家を飛び出して

歩いても数分で着くその距離を全力でダッシュする。

たぶん、一分もかからんかった。

「っ…着いたで」

電話越しにカチャッと音がなったと同時に開いた

玄関のドアから顔を出したAの目には

潤んだ光がキラリと揺れていた。

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