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傷ついた表情を浮かべる彼女を見るのがつらかった。
自分が嫌になった。だから
「ごめん…私は、」
『ごめん、今日は帰るね』
その場から逃げるように
彼女の言葉を遮って背中を向けた。
Aちゃんの本当の気持ちを知ることのないまま
俺の中にわずかに射し込んでいた光を
自ら閉ざそうとしていた。
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その日以来、俺とAちゃんとの間では
「おはよう」と「じゃあね」
だけが繰り返される日々が続いた。
お互い避けているわけではなかったと思う。
ただ、俺はAちゃんに
どう接していいのかわからなくなっていた。
それはきっとAちゃんも同じで
それまでみたいに
話すことも笑い合うこともなかった。
好きな気持ちは変わらないのに
隣で笑っててほしいのに
二人での練習も、あの日が最後になった。
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あっという間に迎えた合唱祭の本番で
練習では何度も合っていた視線が
交わることはないまま
Aちゃんは
きっとみんなが気づいていないような
小さなミスを、一曲の中で10回もした。
普段は絶対しなかったそんなミスに
気づきたくもないのに
毎日のように近くで彼女の演奏を聴いていた俺には
わかってしまった。
単純に緊張していただけかもしれない。
でもきっと、そうじゃない。
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megminmg1225(プロフ) - 時々名前設定が未来ちゃんになっているのを、直してくれると嬉しいです。これからも応援してます^^ (2019年12月13日 0時) (レス) id: 32c6f54378 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:N | 作成日時:2019年11月26日 22時