検索窓
今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:117,352 hit

#Search.19 ページ19

.





神「紫耀は、なんも悪くないじゃん」






俺の話をずっと黙って聞いていたジンが

ゆっくりと口を開いた。






神「友達の事故も、彼女の病気も、退学だって

もともとはその子を助けようとしただけで

紫耀は何も…」




『わかってる』






ジンの言いたいことは、今まで自分の中で

何度も何度も嫌になるほど考えてきた。





仕方のないことだったって。

俺にはどうしようもできないことだったって。

偶然が重なってしまっただけだって。





だけどそんな偶然いらなかった。





大切な人を失ってしまうことに

偶然なんていらない。



誰かを傷つけてしまったことに

言い訳なんていらない。





突として俺の中で変わってしまった世界で

たった一人取り残された暗闇の底から

抜け出すことなんてできなかった。








俯く俺の横で

俺に纏う陰鬱な空気を溶かしていくように

ジンの声がそっと沈黙を破った。






神「紫耀が抱えてるもの

すべてをわかってあげることはできないけど

紫耀がしたいようにすればいいよ」






前を向いたまま紡がれるその言葉は真っ直ぐで






神「でも、AはAだから」






澄みきっていて






神「紫耀がとらわれてる過去の世界に

Aは関係ない」






鋭くも温度をのせて

胸の奥にじんわり溶け込んでいく。





一人彷徨い続ける暗闇の中に

うっすらと光が射し込んだ気がした。





その先に何があるのかはわからないけれど

少なくとも、今俺が閉じこもっている世界に

Aちゃんはいない。






神「紫耀がこれからどうしようが

俺がどうこう言うことじゃないけど

Aのこと、傷つけたりすんなよ」






ずっと前を見据えていたジンが俺に振り向いた。






神「もしものときは俺、遠慮しないからな」






いたずらっぽく笑ったジンの瞳が

俺の胸を真っ直ぐに貫いた。





.

#Search.20→←#Search.18



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (154 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
501人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

megminmg1225(プロフ) - 時々名前設定が未来ちゃんになっているのを、直してくれると嬉しいです。これからも応援してます^^ (2019年12月13日 0時) (レス) id: 32c6f54378 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:N | 作成日時:2019年11月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。