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神「紫耀はそれでいいの？」

Aちゃんが元気になった、と

嬉しそうに俺に駆け寄ってきたジンに

朝のことを適当に話すと、その表情を少し曇らせた。

『うん』

脱いだ上履きを靴箱の中の靴と交換しながら

短い返事をする。

神「紫耀の好きなようにすればいいとは言ったけどさ

あーもうなんでこうなるかなぁ」

後ろ髪をわしゃわしゃと掻きながら

眉間に皺を寄せたジンは

Aちゃんと俺を意地でもくっつけたいらしい。

神「Aも何してんだか。

早くはっきり言えばいいのに」

『今のままがいちばんいいんだよ』

Aちゃんが隣で笑ってくれるだけで

それだけで俺は幸せだから。

納得いかない顔のまま一緒に校門を出たジンは

次の日の昼休み

なぜかまた楽しそうに駆け寄ってきた。

神「紫耀くん紫耀くん！」

あからさまな異様な態度に

すんげー不敵な笑み浮かべててなんか気持ち悪い。

全力でドン引いてそれを顔にも出すと

気づいていないのか、そんなの構わずに

奇妙なテンションのまま

空いているAちゃんの席に横向きに座った。

神「夏休み入ってすぐに

市のでっかい花火大会があるんだけどさ

俺らと行こうぜ！」

『……俺ら？』

高校生の男子が花火大会の予定を話すのに

こんなウキウキなハイテンションなのかと

ジンに対するイメージが崩れそうになったとき

神「うん、Aも誘ったから！」

『えへぇっ！？』

突如出されたその名前に、変な声が出た。

『いや、俺まだ何も言ってないんだけど』

神「Aはいいってよ！」

『うぇっ！？』

神「あいつ、俺が誘ったら途中まで渋ってたくせに

紫耀の名前出した途端OK出しやがった」

変わらずニヤニヤと笑いながら楽しそうに話すジン。

でもその言葉に、思わず俺も頬が緩んだ。

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断る理由もなく約束した花火大会当日。

待ち合わせ場所に現れたAちゃんは

もちろん普段の制服姿じゃなく

黒ベースに深紅の花をいくつも咲かせた

大人っぽい浴衣を身に纏っていて

沈みかける夕日を浴びたその姿は

めちゃくちゃ綺麗で、可愛かった。

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