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#memory.46 ページ46

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ほんの数時間前に

胸を躍らせながら通った道を

重い足取りで家に向かって歩いていく。

足を進める度に

神宮寺に貰ったヨーヨーが静かに水音を立てて

沈んだ心をより一層虚しくさせた。

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平野くんと別れてから

ほどなくして見えたいつもの公園。

オレンジ色の街灯一つだけが

ほんのりと照らす薄暗い空間の中で

一人ベンチに座る人影が見えた。

深まった夜の静寂の中

普通なら怯えてしまいそうなその場面に

不思議と怖さは感じない。

俯いていたそのシルエットがゆっくりと顔を上げて

こちらに気づいたように

ほんの少し見開いて向けられたその瞳が

薄いオレンジの光を受けて微かに揺れ動いた。

「なんで…」

ベンチから腰を浮かせて

少し遠くで私に向かい合ったその距離を

ゆっくりと詰めていく。

『なんや、思ったより早かったな』

私を待っていたのか、

ついさっき見送ったはずのその姿が

片方の口角を上げて、ふっと笑った。

『…って、俺のせいか』

さっきまで

冷酷な表情を浮かべていた廉を思い出す。

今、目の前で私を映すその瞳は

色素が薄くビー玉のように透き通った

いつもの廉のものだった。

本当はただ私を心配してくれているだけで

きっと廉に悪気はないんだ。

「もう時間も遅いし…

あれは廉の優しさだって、わかってるから」

何も言わずにただ苦々しく静かに笑った廉は

もうさっきまでとは違う、私の知っている廉。

でも、なんだろう。

何か、違うものを感じる。

『ほんまにそう思っとる？』

「え？」

『俺がおまえのこと心配して

あいつにあんなこと言ったと思っとるんやったら

それは買い被りすぎやわ』

今度は呆れたように笑った廉が

何が言いたいのか、すぐにはわからなかった。

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