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#memory.43 ページ43

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なんて言えば正解なんだろう。

私が平野くんのことで泣いてしまったことは事実で

そのときそばにいてくれたのは廉で

だけど、平野くんを責めることでは決してなくて

私は、目の前の切なげな表情をする彼に

なんて言えば＂大丈夫＂だと伝えられるんだろう。

すぐに正解なんて出せなくて

何も言えずにいた私の隣で

またしても廉の言葉は

平野くんに容赦なく降りかかる。

廉「学校の人気者かなんか知らんけど

ちょっとモテるからって

Aのこと弄ぶのもいい加減にせえよ」

ちがう。

平野くんは、そんな人じゃない。

廉「これ以上こいつのこと傷つけるんやったら…」

「廉、もうやめて」

耐えられなかった。

廉がこんな顔で、目で、冷たい言葉を放つことも。

平野くんの歪んでいく表情を見ることも。

「そんなんじゃないから。

平野くんは、なにも悪くないから」

私の声が届いているのか、いないのか

廉は黙ったまま、変わらず平野くんを見据えていた。

夜も深まってきたせいか

静寂の中を吹き抜けていく風が妙に冷たく感じた。

廉「…アホくさ」

しばらくの沈黙のあと

廉はそれだけ吐き捨てると

くるっと背を向けて歩き出した。

その後ろを慌てたように追う玄樹くんと

不安そうにこちらを振り返りながら走っていく海人が

だんだん遠ざかっていく。

廉が、廉じゃないみたいだった。

あんな廉、今まで見たことなかった。

助けてくれたのも

平野くんにあんなことを言ったのも

廉の優しさだとわかっているのに。

その後ろ姿は、なぜだか寂しげで

どうしようもなく、胸が締めつけられた。

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