ハッシュタグ (ページ37)

今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:326,837 hit

#memory.37 ページ37

.

とりあえずその場から離れようと立ち上がり

人混みに紛れようと元来た道を足早に歩いていく。

「ちょっと待ってよー」

それでも着いてくる二人に

だんだん恐怖と不安が募っていく。

こんなだから

いつまでたっても海人に心配されるんだ。

こんなだから

廉に＂どんくさい＂って言われるんだ。

「待てって！」

突然口調が荒くなった男の一人に

後ろから肩を強く掴まれ、思わずギュッと目を瞑る。

嫌だ──

助けて──

平野くん……！

.

「おい」

さっきまでとは違う聞き覚えのあるその声に

閉じていた目をゆっくりと開ける。

なんで……

「嫌がっとるやん。そのへんにしとけや」

夜闇の中

気づけば目に溜まっていた涙で滲んで

はっきりとは見えなかったけど

そこには確かに

いつもの甲高い関西弁を放つ廉と

その隣で大きな目を光らせた海人が

二人して殺気を放つほどの

凄まじい形相で立っていた。

そんな二人の姿に怖気づいたのか

黙ったまま動かない二人の男に

廉が追い討ちをかけるように言葉を重ねる。

廉「さっさとそこから離れんと、ガチでしばくで？」

光を無くした目で一歩一歩近づいてくる廉に

無言で後ずさり顔を見合わせると

男たちはそのまま走って去っていった。

その後ろ姿を鋭い目つきでじっと見据える

こっちの男二人を交互に見比べる。

「れん…」

廉「っだぁぁぁぁぁ！！！しんど！

下手したらボコられるかと思ったわ！あっぶな！」

急に表情を崩して声を上げた廉。

海「れん兄には勝てないと思ったんだよ！

こんな顔面国宝が現れたら引くしかないもん！

ムリっしょ！」

そう言って笑う海人も

いつもの海人の表情に戻っていた。

そんなことより

「二人とも、なんでここにい…」

海「だから言ったじゃん！」

廉「ほんまどんくさすぎやろ、どあほ！」

二人から同時に大目玉をくらって何も言い返せない。

「ごめんなさい…」

おそるおそる顔を上げると

優しく微笑む海人からは頭ポンポン

眉間にシワの廉からは強めのチョップをくらった。

.