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#memory.20 ページ20

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何が起こったのかわからなかった。

私を見つめる彼の吸い込まれるような瞳に

ただ呆然と、立ち尽くしていた。

『ごめんいきなり。でもほんとだから。』

そう言って微笑んだ平野くんの言葉で

少しずつ現実を受け入れていく。

それでもまだ頭が追いついていない私に、

『Aちゃんは？』

彼は、

『好きな人いるの？』

ずるい。

今にも溢れ出しそうな想いを言葉にしようと

握りしめた拳にギュッと力を込める。

「私は…」

ここで自分も好きだと伝えれば

平野くんと付き合うことになるんだろうか。

＂紫耀くんは誰とも付き合わないから＂

再びあの言葉が頭をよぎった。

どうしてだろう。

「平野くんは、」

私は平野くんが好きで

平野くんも、私が好きだと言ってくれた。

それなのに。

「平野くんは、誰とも付き合わないんでしょ？」

思いとは裏腹に、私の口から出た言葉は

彼から表情を奪った。

『なに、それ』

それまで聞いたことのない

平野くんの低く渇いた声が

二人だけの空間に、静かに響いた。

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