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#memory.18 ページ18

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合唱祭を目前に控えた、放課後の音楽室。

いざやってみてしまえば

なんでもできてしまうらしい

どこまでもかっこいい平野くんは

あれだけ心配してた指揮も

そつなくこなすほどになっていた。

「もう完璧だね！」

『Aちゃんのおかげだよ』

いつもの眩しい笑顔をみせる平野くんをみながら

ふと、この前の公園での出来事を思い出す。

＂紫耀くんは誰とも付き合わないから＂

………あれ？

今さらその言葉に、なんだか違和感をおぼえた。

久しぶりの廉との再会に気を取られて

今まで気にならなかったけど

なんで

平野くんは誰とも付き合わないんだろう。

そういうの興味ないとか？

忘れられない人がいるとか？

それとも、彼女達の口から出まかせ？

急にモヤモヤしてきて

目の前の平野くんを観察するように眺めていると

それに気づいた彼が

ん？と不思議そうに首を傾げた。

……どうする、本人に聞いてみる？

でもそんなことしたら

自分の気持ちがバレてしまいそうだし……

「あ、あのさ…」

平野くんって誰とも付き合わないってほんと？

なんかちがう。

平野くんってなんで誰とも付き合わないの？

なんか偉そう。

なんだかしっくりこない問いかけが

頭の中をぐるぐるする。

そんな私の言葉を待つかのように

じっとみつめてくる平野くんの視線に

早くなにか言わなきゃ、と

頭が真っ白になったとき

「ひ、平野くんって好きな人いるの？」

完全に墓穴を掘った。

自分の気持ちがバレてしまいそうだから、と

頭をフル回転させて言葉を探していたのに

思わず自分の口から飛び出した言葉は

それにいちばん相応しくないものだった。

平野くんの顔が見れない。

今すぐにでもここからいなくなりたい。

時間を戻せるなら

ほんの10秒前でいいから、戻りたい。

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