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#memory.13 ページ13

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思わぬ人物の登場にぽかんとする私とは反対に

人差し指で軽く前髪を掻き分けながら

ゆっくりとこちらに向かってくる彼を見て

焦った素振りをみせた彼女達は

「いっとくけど、

紫耀くんは誰とも付き合わないから」

それだけ吐き捨てると、私をキッと睨みつけてから

逃げるように去っていった。

『なんなん、あれ。

全員はんにゃみたいな顔しとったで？』

はんにゃ顔が去っていった方向を見ながら

近づいてきた廉が、私の目の前でピタリと止まった。

頭一つ分見上げた先にある

嘘みたいに整った顔をみつめながら

また男らしくなったなぁ、なんて思っていると

『もしかして俺邪魔やった？

これからいいとこやった？女同士の修羅場！』

ニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべて

見下ろしてきた廉を、ギロっと睨みつける。

「……うるさい」

『うぉぉおおおい！

ひっさしぶりの再会を果たした＂顔面国宝＂

永瀬廉くんへの第一声とは思えんなぁ！！！』

相変わらず騒がしい廉を横目に

なんだか少しホッとしている自分がいた。

中学入学と同時に近所に引っ越してきた廉とは

自然と登下校も一緒になることが多く

おまけにクラスも3年間一緒で

気づけば隣にいるのが

あたりまえの存在になっていた。

中学卒業後、

家から少し離れた進学校に通いながらも

毎日のように部活で忙しい廉に会うことは

ほとんどなくなり

この日会ったのは、約一年ぶりのことだった。

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