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#memory.27 ページ27

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『っあ～もうっ』

変わらず泣き続ける私に痺れを切らしたように

後ろ髪をわしゃわしゃと掻き乱した廉が

突然、私の腕を掴んだかと思えば

そのままグイッと引き寄せられて

気づけば、今度は廉の細い体によって遮られた視界。

『今はなんも言わんでええから』

そう言って遠慮がちに回された手は

ふわっと優しく包み込むように

私の頭を撫でてくれた。

その手があったかくて、優しくて

思ってたよりもずっと逞しいその胸に

顔をうずめて、思いっきり泣いた。

『おい、鼻水つけんなや』

しばらくしたあと、半ば強引に離された体。

『うっわ、まじ勘弁』

自分のシャツの胸の辺りと

ぐしゃぐしゃになった私の顔を見比べながら

わかりやすく顔を顰める廉をみて

やっと落ち着きを取り戻して

ホッとしてる自分がいた。

「廉」

『ん？』

「ありがとう」

素直にお礼を伝えると

照れ隠しをするように目線を逸らす廉の癖は

昔からちっとも変わっていない。

『おん。急に泣くからビビったわ！』

頭の中はごちゃごちゃのままだけど

自分の中でまだ何も整理できていないけど

廉に、話してみようと思った。

平野くんに告白されたこと。

私の一言で彼がなぜか一変してしまったこと。

それ以来、話すことも笑いかけてくれることも

なくなってしまったこと。

それがどうしようもなく辛くて、苦しくて

何も答えが出ないまま、ずっと悩んでること。

下手くそで、まとまりのない話を

廉はときどき相槌を打ちながら

最後まで聞いてくれた。

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