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#memory.3 ページ3

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『よろしくお願いします』

子供のような笑顔でペコッと軽く頭を下げた彼に

無言でこちらもペコッと頭を下げる。

「こっち」

自分でも無愛想だったと思う。

彼の顔も見ないままそれだけ言うと

足早に教室をでて

ひたすら職員室の方へと足を進めた。

ただの緊張なのか、

特等席が特等席じゃなくなった上

なぜか雑用を初対面の転校生と

一緒にする羽目になったことへの不満なのか

自分でもよくわからない感情のまま

そんな態度を取ってしまっていたにも関わらず

彼はまるで気にしていないかのように

ニコニコしながらスっと隣に肩を並べてきた。

『なんか転校生ってワクワクすんねっ！！』

「は！？」

突然何を言い出すかと思えば第一声それ？

なんかずっと笑ってるし

この人ちょっと変わってる…？

『いや、新しい世界にきた～って感じ？？』

これから楽しみだなぁ～、なんて呟いている彼を

チラッと見上げると

たった今初めてちゃんと見る彼のその横顔に

思わず息を呑んだ。

そんな私の視線に気づいたのか、

『ん？どした？』

不意に顔を向けてきた彼と

今度は初めて視線が重なった。

「えっ、いや、べつに、…どこからきたの？」

小さな動揺がバレないように

咄嗟に引っ張り出した質問をぶつける。

『名古屋！』

「へぇ」

『……えっ？それだけ！？

聞いといてそれだけ？えぇ～～～』

大袈裟なくらいのリアクションをしながら

隣で笑う彼を見て

つられるように、思わず笑みが溢れた。

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