浮気17% ページ19
それは突然のことだった。
体育の時間。
疲労·寝不足のせいか、倒れてしまったのだ。
·
『…』
目を開けると、天井が広がっていた。
消毒液の匂い。
ベッドの周りを囲むカーテンを見て、ここは保健室だとわかった。
ふと何時だろうと腕時計を見る。
時計の針は既に3時を回っていて、授業はとっくに終わっていた。
私はむくりと起き上がり、先生を探したが
そこには誰もいな____
「…」
_____ひとり、いた。
ゴソゴソと何かを探しているようだ。
その後ろ姿を見て少しヒヤッとした。
見覚えのある
私の好きな水色をしたジャージだったから。
·
『…なにを探してるの？』
いっこうに探しているものが見つからなそうだったので声をかけた。
「…!」
その人はいきなり声をかけられたからか、ビクッとして振り向いた。
センター分けの前髪にけだるげな目をしていた。
｢…ガーゼと保冷剤…｣
『…あ、ガーゼはあの棚の籠の中、保冷剤は奥の部屋の冷凍庫にありますよ』
実は私、1年2年と保健委員をやっていたため、保健室には詳しいのだ。
｢…ありがとうございます｣
その子は
そう言って、それらを取りに行った。
『…怪我したの？』
私は彼になんとなく話しかけていた。
｢…はい。…部活行く途中転んじゃって｣
へぇ、近頃の男子高校生でも転ぶことなんてあるんだ、
とよくわからない感心をしながら、再度彼を見た。
頭に保冷剤を当てているところを見る限り、相当派手に転んだのだろう。
『…ひざ、血がでてるけど大丈夫？』
｢あ。｣
と言って彼は膝を見た。
あ、これは傷に気づいてなかったな…。
『ちょっと、そこに座って。』
｢え？｣
『手当する』
｢え、いや、自分でやります｣
『…いいから。やらせて。こういうのには自信があるの。』
そう、自信があるのだ。
私は中学の頃、マネージャーをやっていた。
偶然にも、バレー部の…
職業病というべきか、
怪我した部活の選手を見るとほっとけない。
·
『よし、できた』
｢…ありがとうございました｣
『ん、無理しないでね、国見くん』
｢…え、なんで俺の名前…｣
さっきまでずっと無表情だった彼がやっと表情を崩したから 思わず笑ってしまった。
『ふふ、なんででしょう』
そう言って私は先に部屋を出た。
·
__国見ちゃんは、冷静な判断ができるんだ
___たまにレシーブサボるけどね!
そういって私に楽しそうにチームメイトの話をする徹を思い出して、不意に泣きそうになった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 616人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
多趣味のM(プロフ) - 最後に更新されたのが二年前ということは分かっていますが、とても続きが気になります!!気が向いたらでいいので更新してくれるととても有難いです!!私、今年高校受験なのでとても息抜きになっています!!よろしくお願いします!! (2020年10月18日 23時) (
レス) id: 2c30e4e7ea (このIDを非表示/違反報告)
いぬじゅん。(プロフ) - salomeさん» はじめまして!ありがとうございます!!これからもっと更新していくつもりなのでどうぞよろしくお願いします！ (2018年8月18日 21時) (レス) id: e4b5531240 (このIDを非表示/違反報告)
salome - 初めましてお久し振りの更新ですね更新してた頃は結構見ていたんですが何があって更新停止状態？になっていたが聞かないし知る気もありませんが完結させる気があればドンドン更新して欲しいです今後も楽しみにしています (2018年8月18日 20時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
ういたま - クソ川め…可愛い彼女いるくせして…！あれですか！？すれ違いか！？くそ！はよくっつけ！！とても面白かったです！ (2017年2月12日 23時) (レス) id: 465eb597ac (このIDを非表示/違反報告)
月蛍花(プロフ) - いにゃ…い……ブフッwwwwwwwwwwwww (2017年2月2日 19時) (レス) id: 9e4c658136 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いぬじゅん。 | 作成日時：2016年1月3日 10時
