空、飛ぶ (ページ33)

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S.H：birthday story ページ33

*

はぁ、疲れた

今日も仕事だったけど
沢山の人にお祝いされて
沢山のプレゼントを貰って
沢山ケーキを食べて

幸せだなぁと実感する

日付が変わる三十分前
もうすぐ特別な日が終わる

エレベーターの中でぼんやり思う

Aさんは俺の誕生日を知ってるのだろうか

この前廉がAさんにプレゼントを貰ったと
わざわざ見せびらかしにきたし…

普通に羨ましかった

エレベーターを降りて部屋に向かうと

「うわっ、えっ？
あ、あれ？…Aさん？」

自分の部屋のドア前でうずくまる人
若干ビックリしちゃったじゃん！

『あ、おかえりなさい』

「ただいまっ、どうした？こんな所で…」

『えっと、待ってた、紫耀くんを。
これ渡したくて！
良かった、今日が終わる前で…』

鼻を赤くして微笑む彼女
そっと差し出された紙袋

その為に待ってたの？

「えっ、ラインくれればよかったのに！
こんな寒い中待っててもらって…
逆にすいません」

『あっ、ライン！バカだ忘れてた…
謝らないで。こっちが勝手にした事だし
むしろ迷惑かけちゃって、すいません』

紙袋を受け取る時に触れた手がとても冷たい

いつから待ってたの？

その手を取って自分の服のポケットに入れる
もう片方の手も

『へっ？えっ、えっ？』

動揺を隠せないAさん

他の住人に会ったら大変だからか
周りをキョロキョロしている

大丈夫、誰もいない

「プレゼント、ありがとう。ほんと嬉しい…
俺の誕生日知ってたんだね」

『知らないはずないよ』

頬を染めてドヤ顔で言う彼女
それがおかしくて笑ってしまった

冷たい手もだんだんと温かくなってきている
なんだかこの手を離したくないな…

なんて思ったり思わなかったり思ったり

「部屋戻ったらすぐ温かくして！
ほんと風邪引かないようにしいや！」

『お母さんか！』

二人で笑い合ってその手を離した

冷たい風が吹いたけど心はポカポカ温かい

不思議だなぁ

『紫耀くん、お誕生日おめでとう』

「ありがとう！！！」

特別な日がもっと特別になった

HAPPY BIRTHDAY , SHO！

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