季節外れの大雪予報 ページ7
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『翔太ー、行こ』
補修最終日、早くしろとでも言わんばかりの顔で俺を見るA。モールに何の用事があるか聞けば、夏祭りに行く為の浴衣を買いたいんだと。
え、俺それ一番に見ちゃっていいの?二人でモール行って浴衣選ぶとかカップルじゃん。なんて考える頭ん中を隠すように「うるせー、今準備してるから待ってろ」なんて。今に始まった事じゃないけど俺も中々素直じゃねえな。
いざモールに着けばキラキラした笑顔であれこれ言いながら浴衣を選んでる。紺の帯、白地にグレーの大振りな花が淡く描かれてる浴衣をじっと見つめるA。考え込むような顔でその場から動かない。まあ粗方、似合うかどうか迷ってんだろうけど。似合うだろ、お前なら。っていうか、これ、Aの為に作られたもんじゃねえの?って思うぐらいには似合いそうで。
「なに、迷ってんの?」
『んー。本当は赤とかオレンジとか華やかなのにしようと思ってたんだけどさ。これも捨てがたいっていうか、これが良いって思っちゃってるんだよね〜』
「へえ。じゃあそれにすれば?」
『翔太ってまるっきり女心が分かってないわ。だから彼女できないんだな!はっはーん』
「はあ?うるさ。お前まじでうるさい。俺は今日お前が見てた中で一番似合うと思ったから言ってんの!!」
珍しく素直じゃん、明日雪でも降るんじゃない?何て言いながら"その"浴衣を手に取り会計へと進む後ろ姿に頭を抱えた俺の胸の内なんてきっとあいつは知りもしない。
夏祭り当日、集合場所に辿り着けば既に浴衣を着た男子5人衆が笑い合っていた。輪に入れば、「何か翔太の浴衣洒落てんな」っていう照。まあ、今日の為に俺は一人でモールに行って色々と準備してんだよ。
しばらく6人で駄弁っていれば『お待たせ〜』と登場するA。あの日二人で買いに行った浴衣を身に纏っていて。やっぱすっげえ似合うじゃん。
つい見惚れて何も言えずに居ると騒ぎ出す佐久間と咎める照。
「え、てか翔太とAの浴衣似てない?何お前ら!!さくまも二人と同じのが良かった!!!!」
「お前子供じゃねえんだからあんま騒ぐな」
俺とAを交互に見て、そう言うことかと呟く阿部とAを褒める涼太。
「ついに付き合った?」
「Aは何でも似合うね、可愛いよ」
何か閃いたような顔してニヤつき始めるふっか。
「へえー。翔太、お前去年と違う浴衣着てんのな。てか、Aが浴衣買いに行くのついてったんだもんな?」
こいつらには敵わねえなと思うと同時に俺の去年の浴衣を覚えてるふっかに若干引いた。
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みお - 続きが気になります!更新がんばってください! (2021年4月24日 22時) (レス) id: 5570e61c51 (このIDを非表示/違反報告)
もち婆(プロフ) - まーささん» ありがとうございます、、!!亀更新ですががんばりますので完結まで是非お付き合いください! (2021年1月28日 23時) (レス) id: 64e1765b2d (このIDを非表示/違反報告)
まーさ(プロフ) - 続きが気になりすぎる 〜〜! (2021年1月20日 5時) (レス) id: 136d20d805 (このIDを非表示/違反報告)
もち婆(プロフ) - ぽんさん» ご指摘ありがとうございます。改善しました。 (2021年1月17日 22時) (レス) id: 64e1765b2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち婆 | 作成日時:2021年1月17日 21時