花鳥風月 (ページ4)

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3 .月の雫が落ちるページ4

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百瀬さんと少しだけ話して事務所の方とお会いする日程を決めた。明後日、か。家族にはまだ話していない。何て言われるかは分からないけど反対されそうな気がして。

－－数日後

『ここが、事務所…』

百瀬さんとの約束の時間に事務所の前でボーッと突っ立ってると肩を叩かれて振り返る。

「こんにちは。今日はわざわざありがとう。」

『あ、百瀬さん！お時間作って頂いてありがとうございます』

「早速だけど行こうか、社長が待ってるよ」

どんどん進む百瀬さんの後を続けば社長室というプレートが掛かった部屋の前で立ち止まった。

"社長室"なんて普段の生活の中じゃ目にしないモノを目の前にして、急に実感が湧いてくる。なんか、本当に引き返せないとこまで来ちゃった感じがする……。

百瀬さんのノックに反応する、「どうぞ～」と間延びした優しそうな声。失礼します、と百瀬さんに続いて中に入ると穏やかな笑顔で私を見つめる人が居た。

「初めまして、百瀬から話は聞いてるよ。どんな子が来るだろうと思っていたけど一目見て確信した。きっと月の様な存在になる。－－－ようこそ、今日からここがYOUのふたつめの家だよ」

それから自己紹介をし握手を交わして、百瀬さんが私のマネージャーに就くと言われた。

急展開に戸惑いながらも、期待で胸が弾む。

今まで何をしても心から楽しいと思えなかった。だけど今は、これから先どう変化するか分からない未来を想うだけで自然と笑顔が溢れた。

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