花鳥風月 (ページ2)

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1 .揺らぐ花弁ページ2

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学校帰りに真っ直ぐ帰る気にもならず近所の公園でぼーっと過ごす。この時間がなんとなく自分の中で大切な時間だった。

『あ～！！！！今日も結局いつも通りか』

なんて、大きな声を出してもこの大きな街じゃ誰も見向きもしない。と思っていたのにいつの間にか近くのベンチに座っていた男性にめちゃくちゃ見られてる。え、めっちゃ恥ずかしい。ていうか誰？

「初めまして。君、エンターテイメントとか興味ない？」

『え、エンターテイメント…ですか？』

「突然ごめんね、さっき君が大声出してたの聞いちゃった。素敵な声だなって。」

『あ、え、いや、あの。大声出してすみません。…ていうか、え？どういう状況ですかこれ』

パニック。軽くっていうかもう盛大にパニック。そんな私を見てめちゃくちゃ笑ってるこの人誰ですかまじで。

「申し遅れました。この会社、知ってるかな。僕はここで働いている百瀬です。君の声を聞いて是非ウチで歌って欲しいと思ったんだ」

そんな心の内が思い切り顔に出てたっぽい私を見てそう言った彼が差し出した名刺には、日本に住んでいれば誰もが知っているであろう事務所の名前が書いてあった。

『え、じゃにー…ず？え？いや、ここって男の人しか所属してないところですよね？私、女なんですけど…』

「大丈夫、分かってるよ。今度始まる新プロジェクトに君がピッタリなんだ。僕に決定権はないんだけど、どうしても君を迎え入れたい。君さえ良ければ社長に太鼓判を押してみるよ」

君の声に惚れたんだ。－－彼、もとい百瀬さんが差し出した左手をそう簡単には握れなかった。

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