だから僕は泣いた ページ14
「あれ…見つか、っちゃった。」
弱々しい声で君は言った。
「どういうことだ。」
頭のどこかで考えていた、
99%、いや100%以上有り得ないと思っていた妄想とも言うべき僕の考えが
現実になった。
「ごめんね。黙ってて、嘘ついて、ごめんね。」
嘘は嫌いだった。
母親がよく、嘘をついていたから。
だけど君のついた嘘は君の一部で
だからつまり
それは嫌いじゃなくて。
「私ね。もう、死んじゃうんだ。」
その言葉だって、僕が嫌いになれない君の嘘だ。
なぁ、そうだろ。
「嘘じゃないの。死ぬの。」
そうだと、言ってよ。
「嘘だ！！」
フィールドの上以外で声を荒げたのは初めてだった。
感情を制御していれば、声に抑揚が付くことなんてありえないはずだったから。
「泣かないでよ、野坂くん。」
その君の言葉に、一体何を言っているんだろうと思った。
僕が泣いている？
感情は無意味だ。あり得ない。
だけど僕の頬に触れている君の手が力を失って離れた時、君の手よりも何もない空気の方が遥かに温かくて
君の手の冷たさを思い知った。
さっきからぼやけているこの視界が何なのか、僕は知らないけれど
きっと君の言う通りなのだろうと、認めざるを得なかった。
「あのね。野坂くん。」
こんな時にまで、君はその顔に微笑みを浮かべて言った。
「野坂くんが好きだと思ったものを、ただまっすぐに、純粋に、好きでいてほしいの。」
やっぱり僕には、君が分からない。
「心から愛せるはずだったものを、心から愛して欲しいの。」
今日も僕は、君を理解できない。
「そして、笑って。」
笑うことなんて、できるものか。
「生きて、笑って。」
君のいない世界で僕は、一体何に笑えばいいの。
「最後が野坂くんの隣だなんて」
どうして君は、そんなにも。
「私、幸せ。」
そんなにも僕のことを、幸せにしてしまったの。
「野坂くん。楽しいことに、笑って。悲しいことに、泣いて。」
いくら両手で包んでも温まることのない君の冷たさに、得体の知れない水が溢れて止まらなかった。
「自分の幸せに、生きて___________ね。」
違う。
僕はただ、楽しいことに笑えなくても、悲しいことに泣けなくても、君の幸せに生きていたくて。
「心から愛せると思ったのは君だ。君だったんだ。」
僕がただ本心をぽつりと、そう漏らした時には
君はいつものように笑わなかった。
何も返事をしなかった。
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もちまる。(プロフ) - すずさん» すずさん、コメントありがとうございます！感動して頂いたようで何よりです。応援ありがとうございます！ご期待に添えるようこれからも頑張っていきますね！ (2019年8月11日 20時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 今この作品を見終わったのですが、とっても感動致しました。野坂くんも過去に戻ってしまうというところがこんな展開他にはないな、という感動を覚えました。更新、頑張ってください！これからも応援させて頂きます！ (2019年8月10日 0時) (レス) id: b95394d06b (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - おみかんさん» おみかんさん、コメントありがとうございます！そんなことを言って頂けて、ほんっとうに嬉しいです。応援ありがとうございます！今後も頑張っていきますので、完結までお付き合い頂ければ幸いです！ (2019年8月5日 9時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - 姫菜さん» 姫菜さん、コメントありがとうございます！作品に入り込んでいただけだようで、とても嬉しいです。深くこの小説をお読み頂き、本当にありがとうございます！今後も是非楽しんでいただければ幸いです。更新頑張ります！ (2019年8月5日 9時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - めりさん» めりさん、コメントありがとうございます！前作から読んで頂いているんですね…！とっても嬉しいです。私も大好きいいいいいいこれからも是非お読みいただければ嬉しいです！！！！笑 (2019年8月5日 9時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年8月1日 21時
