夢の中の御伽話 ページ35
もしも野坂くんと、付き合ったら。
私はきっとウキウキしながら買い物に行って、可愛いワンピースとサンダルを買うんだろう。
それから柄にもなくリップやチークで彩って、小ぶりな鞄を肩から下げる。
お待たせ、なんて決まり文句を言えば、そんな私の手を取って引いてくれるんだ。…この、彼が。
“この子、僕の彼女なんだ。”
彼は名前も顔も知らない誰かにそう言って、私の肩に手を添える。
それって、どれだけ素敵なことだろう。
_______幼い頃の夢は、絵本の中のお姫様だった。
御伽話に出てくるお姫様になって、素敵な王子様に出会いたかった。
いつしか「御伽話なんて」と鼻で笑うようになって、「お姫様」という夢を恥ずかしく思うようになっていたけど。
私が今、「野坂くんと付き合えたら」を考えているのは、まさに御伽話に足を踏み入れているのと同じことだ。
そのくらい浮世離れしていて、夢みたいな話。
叶うわけない。…でもどうしたって、夢見ちゃう。
「まぁでも…あはは、有り得ない話だよね。」
お姫様にはなれなかった。
現実って、そんなもんだ。
「有り得ない？どうしてそう思うの。」
「だってほら、あんたと私じゃ不釣り合いだよ。」
野坂くんはもっと、大人っぽくてお淑やかで、清楚で素直で綺麗な人を好きになるんだと思う。
寝癖頭を見られても何とも思わず、変なところで意地を張って、破天荒そして大雑把。
野坂くんにお似合いの「Aさん」とは、まるでかけ離れている。
「ふぅん、そうなんだ。」
…私と野坂くんの話をしてるっていうのに、なんだかどこか他人事。
だからやっぱり、これはそのくらい「有り得ない」話なんだろう。
「…あれ、そういえばA、どうして電話をかけてきたんだっけ？」
「ん？んーっと…あれ、何でだっけ。」
電話に出た野坂くんが着替えている真っ最中だとは思わなかったから、その事実に驚いてすっかりと忘れてしまった。
けど、アレだ。あの…アレ。
「あぁ、えっと…ちょっとね。困ったことがあって。」
「困ったこと？」
「うん…その、学校の子にね。野坂くんから離れてって、言われちゃった。」
「あぁ、片瀬さん。」
……“学校の子”って、はぐらかしたのに。
何でこうも簡単に、彼は正解に辿りついてしまうのだろう。
「まぁ……うん。だからどうしようって、思っちゃって。」
「彼女のことは、まだよく分からない。実際に会って話してみないと、何とも。」
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もちまる。(プロフ) - 絵菜さん» これからどんどん、色んなことが起こってあんなことやこんなことが明らかになっていくので、是非楽しみにしていてください笑 (2020年8月18日 14時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - 水の犬。さん» ご返信遅くなってしまってすみません…！コメント、こちらにも残してくださってありがとうございます(´；ω；`)亜芽ちゃんの正体、これからどんどん明かしていきます〜！これからもお楽しみ頂ければ幸いです！ (2020年8月18日 14時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
絵菜 - ヴ!!!こ、こわい。でも気になる。ヴぅ (2020年8月13日 22時) (レス) id: bc65156607 (このIDを非表示/違反報告)
水の犬。(プロフ) - こんばんは、コメント失礼します。亜芽ちゃん想像する限り私の好みっぽい子なんですが…亜芽ちゃんの正体？や、存在が展開にどう影響を与えるか気になります！いつも素敵なお話ありがとうございます。無理せずもちまる。さんのペースで頑張ってください！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 88a373f457 (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - 絵菜さん» キュンキュンな方向に向かわせてますが不穏な空気も出してしまいました〜〜！！けどお楽しみに〜！！！ (2020年8月7日 0時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2020年7月15日 22時
