浮かれポンチ ページ15
「…もしもし？」
「あっ………もしもし。」
「どうしたの、A。」
野坂くんと電話をしていることが何故かどこか気恥ずかしくて、西蔭くんにしっしっ、と手で払うジェスチャーを送る。
ちょっと不機嫌そうに顔をしかめられたけど、彼は無事にリビングを出て行ってくれたようだった。
「あ…えっと、元気？」
「元気だけど。…え、それだけ？」
「あ！うんと…今何してたの？」
「今？ちょうど練習終わって、今からお風呂行くとこ。」
電話越しに聞く彼の声は、いつもとは少しだけ違って聞こえる。
新鮮で、なんだか私だけが知っているみたい。…それはちょっと自意識過剰だってのは、重々分かっているけれど。
右耳に当てた携帯から伝わってくる彼の声の振動に、いつの間にか酔いしれる自分がいた。
「そっか、お疲れ様。」
「うん。…それで？」
「それで？えっと…あ！今日の夕飯は何なの？」
「今日？何だったかな…豚肉のソテー？」
さっきあれほど躊躇した話題も、“話題が尽きて切られたくない”という理由だけでスルスルと口先から飛んでいく。
ついさっきまで電話を切ろうとしていたというのに、一度繋がってしまえばこの通りだ。全く私の本心は、自分でも掴みきれなくて困ってしまう。
「ねえ、もしかしてA、用もないのに電話してきた？」
「えっ…いや、まさか。そんなことあるわけないでしょ。」
「じゃあ何？僕の夕飯を知るためだけにかけてきたの？」
「ちが……間違えたの、間違えてボタン押しちゃったの…！これは色々あって、本当は西蔭くんのせいで…。」
「あはは、やっぱり用なんてなかったんじゃない。」
電話越しに聞こえてきた彼の笑い声に、ぎゅっと心を摘まれる。
私の下手くそな嘘はあっという間にバレてしまって、それを彼はまた、どこかからかうように笑っていた。
“おい野坂、風呂行かねーの？”
野坂くんの声よりも奥の方から、そんな声が聞こえてくる。
きっと、強化合宿先で一緒になった人だろう。
そっか、お風呂か。今から入るって言っていたし、野坂くんも練習で疲れているだろうし。
そろそろ切らなくちゃ、申し訳ないかも。
「あぁ、僕はもう少し後にするよ。」
だけどそう思った途端、聞こえてきたのはそんな言葉だ。
お陰様で、浮かれポンチが1匹発生。
コロン、とソファの上で仰向けになって、ふふんと上機嫌になる私がいた。
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もちまる。(プロフ) - 絵菜さん» これからどんどん、色んなことが起こってあんなことやこんなことが明らかになっていくので、是非楽しみにしていてください笑 (2020年8月18日 14時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - 水の犬。さん» ご返信遅くなってしまってすみません…！コメント、こちらにも残してくださってありがとうございます(´；ω；`)亜芽ちゃんの正体、これからどんどん明かしていきます〜！これからもお楽しみ頂ければ幸いです！ (2020年8月18日 14時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
絵菜 - ヴ!!!こ、こわい。でも気になる。ヴぅ (2020年8月13日 22時) (レス) id: bc65156607 (このIDを非表示/違反報告)
水の犬。(プロフ) - こんばんは、コメント失礼します。亜芽ちゃん想像する限り私の好みっぽい子なんですが…亜芽ちゃんの正体？や、存在が展開にどう影響を与えるか気になります！いつも素敵なお話ありがとうございます。無理せずもちまる。さんのペースで頑張ってください！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 88a373f457 (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - 絵菜さん» キュンキュンな方向に向かわせてますが不穏な空気も出してしまいました〜〜！！けどお楽しみに〜！！！ (2020年8月7日 0時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2020年7月15日 22時
