旅立ち ページ47
【you】
“幼馴染”は、いくつになっても“幼馴染”で。
「子どもってさ、くだらないことで喧嘩するけどさ」
「するね」
「でも、すぐに仲直りするじゃん？」
どっちが悪いとか、どっちが謝るとか。
そんなことしなくたって、なんとなく元に戻ってしまう。
「“大人”としてはダメなことなんだろうけど」
幼馴染なら、有りなんじゃない？
「・・・そうだね」
どんなに別な道を行こうとしても、別な方向をを見ようとしても。
結局、私の隣には大我が居るんだ。
「俺にとっちゃ2年なんて秒だよ」
「嘘だあ」
「これまで、何年待たされてると思ってるんですか？」
それに、コロナのせいでリモートなんちゃらを覚えたから、動いてるAは見れるしね。
「でも、しばらく触れなくなるから」
今日は飽きるまで触っていいよね？
「うん、了解、触るだけね」
「・・・ホント、可愛くないよね」
-----
「ごめんね、交代のきかない仕事で」
「いいのいいの、気にしないで」
出発前日に慎太郎から電話。見送りに来ると言っていた大我だけれど、がっつり仕事が入ってしまったそうで。
「こういうことは、いっぱいあるんでしょ？」
「ん？」
「急に仕事で会えなくなりました、みたいな」
「ん、まあ、そうね」
だったら、私も慣れないと。
そして、出発の日。
『あの、AAさんですか？』
写真で見た高地くんの彼女にはじめまして。
SixTONESからの餞別を空港まで届けに来てくれた。
「わざわざすみません」
『いえいえ、あんな大男たち、誰が来ても目立って大変ですから』
「・・・そうですね」
渡された袋を覗くと6人からの寄せ書きと、ツアーグッズらしきバッグやタオルやブランケット、そして、やたらと派手な絆創膏。
「・・・傷は舐めときゃ治る？」
『北斗さんですね』
なるほど。
ちびっ子が来た時に使おうかな。
痛いの痛いの、も、いいかもね。
『あ、あと、良かったら』
最後に渡されたのは、目の前の彼女の連絡先。
『ほら、私たちみたいな立場だと、彼氏のことを友達に愚痴れないから』
愚痴どころか、基本、誰にも言えない。
アイドルと付き合うって、そういうことだ。
『なので、愚痴ホットラインです』
「ありがとうございます」
『まあ、私も愚痴りますけど』
そのまま時間までお喋りをして。
搭乗ゲートをくぐり、ガラガラの飛行機で旅立った。
私も絶対にデカくなって帰ってくる。
大我の隣に、堂々と立てるように。
大我いってらっしゃい!
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 570人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
tamami(プロフ) - MMMさん» コメントありがとうございます！嬉しいです。 (2020年9月4日 17時) (
レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
MMM(プロフ) - 最高でした。数少ないお気に入りの大好きな作品になりました。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年9月4日 1時) (レス) id: 649dee7d4f (このIDを非表示/違反報告)
tamami(プロフ) - りかちゃまさん» こちらこそお読みいただいてありがとうございます(^^) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
りかちゃま(プロフ) - いつも読ませていただいてます！ありがとうございます (2020年8月7日 18時) (レス) id: 09587eedf4 (このIDを非表示/違反報告)
tamami(プロフ) - ゆめの*123さん» ありがとうございます(^^) (2020年7月29日 19時) (レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tamami | 作成日時：2020年7月22日 16時
