合鍵 ページ38
【you】
「はい、失くさないでね」
「え？マジでくれるの？」
「要らないの？」
「要る！要ります！」
おば様の激ウマなエビフライをいただいて。チビチビとお酒を呑みはじめた頃。
泥酔する気は無いけれど忘れないうちにと、大我に合鍵を渡した。
「万が一、連絡つかなくなったら、これ使って助けに来てね」
「そんな怖いこと言わないで」
「だって、ひとり暮らしだし」
なにが起こるかなんて、解んないじゃない？
「あ、でも」
「ん？」
「ってことは、Aはもう居なくならないってことだよね？」
・・・ああ、そうか。
連絡つかなくなったら助けに来いだなんて、裏を返せば“いつでも連絡つきますよ”ってことだ。
「・・・そうだね」
嘘はついてないし。嬉しそうに笑う大我を見たら、こうとしか言えないよね。
「その代わり、私の面倒みてね」
いずれ大我には、慎太郎とか高地くんの彼女みたいな、お似合いの子が現れると思うけれど。
そんな未来を想像したら悲しくなって、お酒を一気に呑み干した。
-----
【taiga】
「・・・大我、暑苦しい」
「せめて、暑いにして」
「無理」
当たり前のように同じベッドに潜りこんだ俺と、それを当たり前のように受け入れるA。
言葉は辛辣だけれども、抱き寄せても拒まないし。
調子に乗ってオトナなキスをしても、抵抗するどころか。
「誰に教えてもらったのさ」
「ん？元旦那？」
「・・・ムカつく」
誘われてんのかな？って感じ。
「もしかして、A、酔ってる？」
顔には出てないし、俺もいける方だから気にしてなかったけれど、かなり呑んでた気がする。
「酔ってないよ」
いや、酔ってる。自分から俺に抱きついて、“大我って女の子みたいなのに毛はオスだよね”なんて、俺をサワサワしている時点で確定してる。
「そういうことしてると、抱くよ？」
「いいよ」
「へっ！？」
拒絶はされないとは思ってたけれど、こんなにあっさりだと、困る。
「・・・あのね？」
簡単にOKしちゃダメだよ？って言おうとした途端。
「きょもはぁ、“特別”なんだって」
「うん、俺も」
「だからぁ、こういうことしても、嫌じゃないんだよって」
「ん？きょも？」
「そっか、なるほどぉ、って」
・・・いろいろと、おかしい。
「それ、誰に言われたの？」
「言われたというかぁ・・・あっ！」
一瞬で酔いが冷めたのか、慌てて口を押さえるA。
「“きょも”ってことは」
「・・・」
「慎太郎、だよね？」
図星、みたいだね。
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tamami(プロフ) - MMMさん» コメントありがとうございます！嬉しいです。 (2020年9月4日 17時) (
レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
MMM(プロフ) - 最高でした。数少ないお気に入りの大好きな作品になりました。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年9月4日 1時) (レス) id: 649dee7d4f (このIDを非表示/違反報告)
tamami(プロフ) - りかちゃまさん» こちらこそお読みいただいてありがとうございます(^^) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
りかちゃま(プロフ) - いつも読ませていただいてます！ありがとうございます (2020年8月7日 18時) (レス) id: 09587eedf4 (このIDを非表示/違反報告)
tamami(プロフ) - ゆめの*123さん» ありがとうございます(^^) (2020年7月29日 19時) (レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tamami | 作成日時：2020年7月22日 16時
