根負け ページ22
【you】
「なにって、決まってるじゃん」
「え？」
「Aちゃんに会いに」
このクソガキめ。
「高地くん」
「なんでしょう」
「どうして慎太郎に喋ったんですか」
「大我に言うなとは頼まれたけど」
「・・・」
「慎太郎に言うなとは頼まれてないですし」
確かにそうですけれども！
「ねえ、Aちゃん」
いきなり真顔になる慎太郎。
「・・・なによ」
「きょもと会ってあげて」
見てくれはすっかり大人になっちゃったけれど、慎太郎は昔のまんまだ。
自分の気持ちをそのまんま口にする。
大我、いい仲間に出会えて良かったね。
デビューも出来たし、これからだね。
でも・・・。
「会うつもりはないよ」
大我も私もそれぞれ自分の道を進んでるんだし。
「今更会っても、ね」
だからね、これでおしまい。
めでたしめでたし・・・
「Aちゃんのドケチ」
・・・にはさせてくれないらしい。
それから小一時間。
うるさい2名(特に慎太郎)に根負けして、私の四半世紀の人生を喋らされ。
ドン引きして諦めてくれるかと思ったのに。
「大変だったんだね」
「大我から聴いたとおりだわ」
全く引いてくれず。
この人たちは、なにがなんでも私を大我に会わせるつもりらしい。
「ねえ」
「ん？」
「なんで、そんなに会わせたいの？」
「じゃあなんで、そんなに会いたくないの？」
そう言われると・・・明確な理由は無い。
でも、確実に解っていることは。
「アイドルの近くに女子が居たらダメでしょ」
「なんで？」
「迷惑かけるかもしれないじゃん」
「え？そんなこと！？」
「は？」
「なーんだ」
そういえばAちゃん昔から気にしてくれてたよねって言いながら、部屋の隅に積まれた雑誌を漁りはじめる慎太郎と、同業者はこういう時に便利ねなんて意味不明なことを呟く高地くん。
「ちょっと、なにしてるの？」
「あ、確かこれに出てたかな」
“リモート映えするアクセサリー特集”のページを私に差し出して。
「これ、俺の彼女だけど」
「え！」
「迷惑かけられたことなんてないよ？」
・・・そう来たか！
でも、負けるもんか。
「女優さんとかモデルさんなら同業者だし」
「そこ、関係ある？」
「ある」
生きてる世界が違いすぎる。
「高地、いい？」
「いいよ」
「・・・？」
「高地の彼女、一般の子」
「はい？」
「同じく、迷惑かけられたことなんてないし」
どうやら私は。
アイドルたちの身を削ったカミングアウトによって、反論する手段を失ったようだ。
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tamami(プロフ) - MMMさん» コメントありがとうございます！嬉しいです。 (2020年9月4日 17時) (
レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
MMM(プロフ) - 最高でした。数少ないお気に入りの大好きな作品になりました。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年9月4日 1時) (レス) id: 649dee7d4f (このIDを非表示/違反報告)
tamami(プロフ) - りかちゃまさん» こちらこそお読みいただいてありがとうございます(^^) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
りかちゃま(プロフ) - いつも読ませていただいてます！ありがとうございます (2020年8月7日 18時) (レス) id: 09587eedf4 (このIDを非表示/違反報告)
tamami(プロフ) - ゆめの*123さん» ありがとうございます(^^) (2020年7月29日 19時) (レス) id: 22fb3c50cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tamami | 作成日時：2020年7月22日 16時
