夢の後先 (ページ44)

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atosaki 44 ページ44

【you】

「ふぁ〜」

AA・・・只今、湯槽に浸かっております。

ひとり暮らしでお湯を張るってちょっと、いやとても面倒な作業で。実家を離れてからはすっかりシャワー派になってしまった私ですが。

こーちさんに半強制的にぶち込まれておりまして。

「何で入浴剤持ってきてるの？」
「ドル誌持ってくるより合理的じゃない？」

確かに。

じっくり温まって汗をかいたら、ほろ酔い気分もすっかりどこかへ行っちゃって。お風呂から出た後のことを冷静に考える。

そもそも泊まる予定じゃなかったはずなのに、しれっと連れ込まれてんじゃん！
お兄さんちを借りたって事前情報なかったんだから、詐欺だよ詐欺！この犯罪者め！

・・・でも。

事前情報があっても来ちゃっただろうし。
何なら「お兄さんち」と知ってすぐ、コンビニでお泊りセットを買ってしまった私は

既に立派な共犯者なんだ。

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【yugo】

「長かったね」
「ふぇい」
「・・・逆上せてんじゃん」
「久しぶりに浸かったから」
「はい、お水」
「ビールじゃないの？」
「もうダメ」
「ドケチ」

残念ながら。酔いつぶしてどーにかする趣味はないからね。

「でもさ、湯槽浸かるの気持ちよかったでしょ？」
「うん」
「・・・じゃあさ」

後でもっと気持ちいいことしようか？

唖然とするAちゃんに軽くキスをして、俺も風呂に向かった。

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【you】

「こーちさん、長い」

こーちさんがお風呂に入って既に1時間。なんだよ長風呂かよ。こっちは暇なんですが？

他人の家では特にやることも無くて。仕方ないから肌見離さず携帯している「社会福祉士過去問一問一答」をめくって時間を潰す。

・・・65％の壁は厚い。

内定先も資格を取得することが採用の条件で。落ちたら採用が取り消しになってしまう。内定後に訪問した時に、採用担当者やら偉い人やらに口酸っぱく言われたこと。

今日が終わったら力尽きるまで勉強だな。

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【yugo】

「・・・寝てやがる」

ローテーブルに突っ伏して寝息を立てているAちゃん。側には難しそうな問題集が落ちている。

「疲れてんだろうな」

採用試験が終わってすぐに国家資格の勉強。授業だってゼロではないだろうし。大変じゃないはずがないよな。

・・・正直めっちゃ消化不良だけれども。起こすのは忍びなくてそーっとそーっと身体を横たえたはずなのに。

「・・・あ」
「！」
「ごめん、寝ちゃってた」

そうだった。この子も眠り浅いんだった。