夢の後先 (ページ41)

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atosaki 41 ページ41

【you】

内定が出たら入職するまでは暇なのかな？・・・と思っていた私がバカだった。

採用の電話で「内定通知書と入社に必要な書類をお渡しするので、近いうちに1度来ていただきたいのですが」と言われ。
書類のお渡しのつもりで伺ったのに、いきなり車に乗せられて「内定者のご挨拶」と称して全事業所を回って偉い(多分)人たちに紹介され。

一般企業への就職を全く視野に入れてなかったおかげで、名刺を頂戴するのすらヘタクソすぎて。
私の第一印象は「コイツ大丈夫か？」になっちまったんだろうなと、働く前からべっこり凹まされた。

こんなことなら、大学のビジネスマナー講座に行っておけばよかったよ！！！
しかも入社書類の書き方、よく解んないし！！！

・・・うん、こんな時には「現役の偉い人」に相談だ。

「もしもし、お父さん？」
「・・・今度はなんだ？」

応募書類の作成に散々巻き込まれたからか、私からの電話には恐る恐る出るようになってしまった父。
あーだこーだ話はしてみたものの、電話じゃよく解らんと言われ、ちょっとだけ実家に帰って何とかして貰うことにした。

意外とね、仙台って近いんだよ？

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せっかく帰省したので、家族で母のお墓参りに向かう。

「お母さん、就職決まったよ」

母が亡くなったのは中学3年生の時で。
県外の大学を選んだことも福祉職になろうと決めたことも、お母さんは知らないんだな。

「ちょっとだけ」とはいえ日帰りは辛いので流石に1泊することにして弟と呑み明かす。3月以来の弟だから話すことはたくさんある。
もちろん未成年のクソガキにはノンアルコールの炭酸飲料しか与えてやらないが。

「ねーちゃんさあ」

余震が怖くて夜な夜な泣いていたクソガキも大学生。しかも生意気にも国公立大学生。

「なに？」
「彼氏できた？」
「・・・どうしてこう、君は地雷を踏むのが得意なんだい」
「やっぱり相変わらずか」

はああああ！むーかーつーくー！！

「俺、姉の老後を看るつもりはないからね」
「バカ野郎、男女の平均寿命の差を舐めんなよ。3歳差なんてな、どっちが先にくたばるか解んないんだから」
「お父さんまでしか看ない。ねーちゃんは自力でなんとかして」

・・・そうか。地元を離れて就職するって、そういうことかもしれないんだ。

「うん・・・ありがとう」

その後、ノンアルコールの炭酸飲料で酔っ払った弟に、最近付き合い始めたという1つ年上の彼女のノロケ話を延々と聴かされて、悪酔いしたのは秘密。