atosaki 35 ページ35
【you】
「・・・腰痛い」
「兄貴の前でそれ言うなよ。いろいろ誤解されるから」
「あながち嘘じゃないじゃん」
「シたかシてないかが重要なの！」
眠りの浅いふたりがくっついて寝てたら、どちらが動けば目が覚めてしまうのは当然で。
夜が明ける前に、眠ることを諦めた。
「俺は先輩じゃないんだから、敬語止めよう」
と、こーちさんに言われ「敬語使ったら自分のことを1つ話す」謎のゲームが始まって。
・・・当たり障りないネタが尽きて黙秘をするとキスをされる。
「・・・いろいろ麻痺してきた」
「いいねえ、調教してる気分」
「こーちさんってドS？」
最早、普通のキスならなんとも思わなくなってきた自分が怖い。外国ではキスが挨拶だから全然アリ？いやいや私は東北産の純日本人だ！
そうかと思えば、さりげなく足が絡みついて
「家に置いときたいなあ」
「何を？」
「Aちゃん」
・・・私は抱き枕かよ。
「あーあ」
「ん？疲れた？ちょっと寝る？」
「こーやってセ○レって成立するのかなあ・・・」
「・・・Aちゃん、時々なかなかのことを言うのね」
「違う？」
「そもそも、シてないでしょうが」
「確かに」
意味わかんない関係だけれども。すごく居心地いいのは何故だろう。
好きって、こういうことなのかなあ。
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【yugo】
「そーいえば、ジャニーズの舞台見たことある？」
唐突だけど訊いてみた。
「なーい。全く興味なかったし」
「バッサリきたね」
だよな。健人を知らなかったくらいだもんな。
「SixTONESは見てみたいと思ってたんだけど」
「ど？」
「こーちさんこんなんだったし」
「おい」
「アイドルってもっとなんかこう・・・」
「・・・ホントに襲うぞ」
「無理！」
・・・無理なら抱きつくんじゃねーよ。
「じゃあさ、今日アイドル見てみる？」
「え？今日？」
「風磨のサマパラ。チケットあるし」
「くれるの？」
「・・・彼女用に取ったんだけど、ほらこーなっちゃったから」
元カノの話が出るとちょっと顔が曇るAちゃん。それが可愛いと思っちゃう俺、やっぱドSなのかな。
「内緒だけど、その日健人も出る予定なの。だからおいで」
「先輩はどーでもいいけど、行く」
・・・辛辣。
普通に考えれば。
付き合ってもいないのに手を出しちゃった相手なんて、関わりたくないモノなのかもしれない。
でも、Aちゃんに拒否されない限りこの縁は切りたくなくて。
「連絡先教えて？」
「うん」
繋がり続けることを選んだ。
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作者名：tamami | 作成日時：2020年4月21日 10時
