atosaki 21 ページ21
【koichi】
「つか、前から訊きたかったんだけどさ」
俺がボソッと呟いた声に、ん？なんて間抜けな反応プラス上目遣いのA。
コイツ、全く自覚が無いようだが。なかなか、いや、相当に顔面偏差値が高い。
剣道の面にファンデーション付くからとスッピンのくせに、周りの女子たちに埋もれないってことは、素材がいい証拠だから。
ちなみにうちの大学、理系が無いから女子が多いし、その上キレイな女子多いからね。
反面、イマドキというかチャラチャラ系も多いから、シンプルイズベストを体現しているようなAは、決してモテる方ではないのだけれど。
それでも、わかるヤツにはわかるから。根強いファンは元々居たし、その筆頭がカオルな訳で。
「カオルとはホントになんもねーの？」
固まるA。・・・訊き方、ちょっと際どかったかな。
いや、でも！
コイツラしょっちゅう一晩を共に過ごしてんだぜ？
成人した男女がひとつ屋根の下でふたりきりだぜ？
コイツひとり暮らしだから完全にふたりきりなんだぜ？
しかも、ハタチそこそこのオトコなんて、基本えっちすることしか考え
「そーなんだよね。ホントに連絡ないんだよ。今までこんなに連絡来ないことなかったから、ちょっと心配ではある」
・・・伝わらねぇ。
「いや、それは聴いたからわかってんだけど」
「へ？」
「だから、その」
「？」
「ふたりで宅飲みして雑魚寝してたら、えっちなことしちゃったりしないんですか？ってこと！」
・・・ああ、恥ずかしい。なんで察しの悪いヤツのために、俺が具体的に質問してやらなきゃねーの。
ブフッ！
え？なに、今の効果音？
「ナニソレ！」
笑ってやがる。
「何もある訳ないじゃん、だってカオルだよ？」
それ、かなりカオルに失礼だぞ。
「だいたい私なんてそういう対象には見えないだろうし」
まずそこが違うな。友達だから絶対無いけど、Aに抱いてと言われれば余裕で抱けるからな。
あ、ついでに質問してやろ。
「好きなヤツとか居ねーの？」
「うーん」
お？
「好きってなんだろう・・・」
知らねーよ、中学生か。出来る子なのに恋愛偏差値30かよ。
俺らが甘やかし過ぎたかな。同期で女子がコイツだけだからと、オトコを意識させないように心がけていたから。
カオルが手を出さないのも、多分それ。
「少しはカオルに優しくしてやれ」
「いつでも私は優しい」
「・・・クソ鈍女」
「うっせ」
「そうか、ってことは、お前まだ処」
「散れ」
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作者名：tamami | 作成日時：2020年4月21日 10時
