夢の後先 (ページ20)

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atosaki 20 ページ20

【you】

2017年6月

大学4年生。周りは授業より就職活動に忙しいのか、もしくは既に決まって最後のモラトリアムを楽しんでいるのか、学内で見かける知り合いも少なくなった。

いや、元々3バカ以外の友達いないようなもんだけど。それでも、一応女子なので「Aちゃん！おはよう」くらいの声をかけてくれる女の子たちは居たんだけど。

キャンパスを歩いていても、誰とも会わない日があったりするから切なくなってくる。

部活も3バカは一般企業志望だから今が正念場らしく。更に、今年も女子の新入部員を獲得できなかったため、完全にぼっちになってしまい、だんだんと部室から足が遠のいてしまった。

私が今やるべきことは勉強。

私の働きたい分野の施設は、県立もしくは市立が大半なので、100％に近い確率で筆記試験がある。しかも採用数が少なかったり、下手したら今年は採用ありませんなんてこともあるから、秋になるであろう採用試験に向けて、がっつり勉強しておかないと。

・・・それに、やっぱり夏休みはミドリでバイトしたいから。今のうちに学力の貯金をしておきたいんだ。

授業が1コマ、その後図書館に籠って2時間ほど勉強し、就職課に寄って試験の情報を見ていたら

コーイチ「よっ！」

今までは七変化だった髪色が、不自然なくらいに真っ黒になったコーイチに声を掛けられた。

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「久しぶりだね」
「そうだな」
「授業あったの？」
「部室に用があって。大掃除したら俺の袴が出てきたんだけどどーします？って、後輩から電話がかかってきてさ。要らないっちゃ要らないんだけど、捨ててもらうのもなんだし、取りに来た」
「うわ、臭そう」
「臭いぞ、嗅いでみるか？」
「断る！」

しばらく会ってなくても、何も変わらない雰囲気が心地いい。

「そーいや、お前最近カオルと連絡取ってる？」
「4人で飲んだ時が最後かな」
「なんだよ、アイツ結構お前の家に出入りしてたじゃん」
「だいたいはあっちが『暇？』って訊いてくる感じだったから」
「そうか・・・そうだよな」
「カオル、どうかしたの？」
「就職先で親と揉めてた話、知ってるよな」
「いずれ家業継ぐから関連のある業種にするか、期間限定だからやりたいことをやるかってヤツだよね」
「それな、まだ決着つかねーらしくて、荒れてんだよアイツ。気が向いたら話聴いてやって」
「・・・自分に余裕できたらね」
「だよな、今そうなるよな」

この時、ちゃんと向き合っていればと後悔するのは先の話。