atosaki 24 ページ24
【you】
「こんな時間だけど、なんか食べます？」
「Aちゃんは？」
「普通の時間に晩御飯食べたけど、先輩来るから軽めにしたんです。だから食べれる」
「ん、じゃあ、超軽いヤツで」
「がってんしょーちっす」
明日はなんにも用事ないし、呑んじゃおうかな。あ、でも仕事早いのかな？なんて考えながら、ツマミにもなりそうなモノを作る。
「先輩ってお酒呑みます？」
「酒豪じゃないけど呑めるよ」
「明日は？」
「昼くらいから」
「じゃあ、付き合ってください」
-----
【kento】
しっかりした子だと思う。
1年生からひとり暮らしで家事もちゃんとするし、学校の成績もそこそこらしい。
将来のことも自分で決めてそれに向かって努力してるし礼儀正しいし。
・・・だがしかし、この無防備さは何なんだ！
アイドル扱いされてないのはよーく解ってるし、それが心地よいから仲良くしてるんだし、危険を犯してまでも会って話したい相手になっている。
でも、頼むから、男扱いはしてくれないかな？
大好物だというジャックダニエルをソーダで割って呑みはじめたAちゃん。別に呑むのは構わない。もう大人なんだから。
でも人間は、酔いが回ると抱えていたモヤモヤを吐き出したくなる生き物で。それはAちゃんも例外ではなく。
「好きってなんですかぁ」
から始まり、夏休みはこーちさんに会えるかなあ？とか、名乗り忘れちゃったから凄い礼儀知らずと思われたかもとか。
・・・高地は何も気にしてないと思うが。
それから大学の仲間との「微妙」な関係なんかをフニャフニャしながらしゃべり続け
「この歳で付き合ったことも、シたことも無いって、変なのかなあ」
水分多めの瞳でトドメを刺された俺が
「じゃあ試してみる？」
Aちゃんを床に押し倒してしまったことは
俺の理性が雑魚レベルだったからでは無いはず。
-----
【you】
びっくりした。
「冗談だよ」という言葉ですぐに解放されたけれど、どんなに鈍い私でも冗談じゃないことくらいわかる。
カオルは、何を思ってここに来てたんだろうとか、コーイチの言葉の意味とか。
異性と友達で居ることってそんなに難しいことだっただろうか。
「大人になるってメンドクサイな」
私の頭を大きな手がゆっくり撫でる。
私の周りの男子はどうしてこんなに優しいんだろう。泣くのはダサいからギュッと目を閉じて我慢していたら
いつの間にか眠ってしまっていた。
「やっぱり男扱いされてないし・・・」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tamami | 作成日時：2020年4月21日 10時
