悪魔で、ヒーロー (ページ9)

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悪魔　８ページ9

時は流れ───冬。

随分とここの生活にも慣れてきた今、早くも僕がこの世界で目覚めて1年が経とうとしていた

約一年、僕は使い魔達との特訓や趣味などして過ごしていた

体が若返っていたため、どんなに無茶をしてもあまり疲れなかった
それに、酒を飲んでも二日酔いがなかったしな
過ごしていた間、酒や紅茶、煙草など試してみたがやばいほどにハマっている

そんな今日は2月26日
2週間程前に空白だらけの願書を出して以来、待ちわびていた"雄英高等学校実技試験"の当日

朝早くから始まる実技試験に向け、僕は右も左もわからないまま建築物の屋上から見える景色を頼りに、憶測で何とかここまで辿り着いた

各々違った制服を見に纏った受験生らの中、1人だけ季節外れの私服でしかも首に蛇を巻き付けて登校している姿はさぞ目立つのか、周囲からの視線が突き刺さっている

そんな蚊帳の外扱いなど歯牙にも掛けずに、僕は顔を上げた

──…眼前に迫る、圧倒的威圧感。
　

近未来的門の先には、なんとも個性的な建築物が威風堂々と来場者を迎え入れている
僕が地図も無しに此処まで辿り着けた理由だ

派手で主張の強い校舎と、それらを余裕で囲う塀に、最早ここが学校なのかどうかすら疑わしくなってくる

心配だと思い始めた頃、巨大を前にして首が痛み始めたのを機に仕方なく、背に腹は変えらんねぇと、僕は歩みを再開させる