悪魔で、ヒーロー (ページ28)

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悪魔　27 ページ28

個性把握テストの次の日

ヒーロー科としての学校生活がいよいよスタートした
といってもヒーロー科は午前中が一般教科の授業で
午後にヒーロー基礎学を授業が行われるカリキュラムとなっている

しかも一般教科を教えるのがプロヒーローなのだから授業もなかなか面白い

プ「HEY！ここの英文のミスをわかった奴はいるか？」

今はプレゼントマイクの英語の授業
うるさい……

そして昼休み
僕は悪魔だから食事しなくても生きていける

だが、何も食べないと不審がられるからな…

「ネフィリアム！俺らと一緒に飯食いに行かねーか？」

午前の授業が終了し、睡気眼の僕へとそう気さくに声を掛けてきたのは、赤く染めた髪を更にワックスで岩のようにガチガチに固めた切島である

そんな親睦を深めたい一心であった切島に対し、然し乍ら麗はその端正な顔を、至って控えめではあるが複雑そうに歪めた

『……あー…申し訳ありません。私で別で食べますので』

「…？そ…そうか……？」

どうとも取れる。どうとも取れない。

そんな曖昧な言い草に、なんだか少し寂しいとは感じながらも、切島も限られた言葉でしか相槌をうてなかった。
理由を聞こうにも、意味深長な口実からは何かしら阻むものがある

「悪いな。」

一言そう残し、逃げるように早足に教室を去っていく僕を、切島は申し訳が無さそうに見送った。

───…そんな僕が向かった先は、自動販売機である。

階段を駆け下り、逃げ込むように角を曲がった麗だったが、そこで行成脚を止めた

見知った顔が視界に映ったのだ

機械相手に睨めっこでもしているつもりか、相も変わらず顰めっ面なその人物は、丁度販売機から買った飲み物を取り出しているところのようで

一定の距離を保ったままに直視していた僕だったが、流石に露骨過ぎたのだろう

やがて当人である爆豪は、今すぐにでも悪業を起こしかねないような殺伐とした目で、ジロッと僕を見遣った

「ナニ見てやがる殺すぞ。」

…物騒の権化

どうしたものか…
飲み物だけ早く買おう…

『失礼、私も買ってもよろしいでしょうか…』

「……チッ…」

やがて何か物言いたげな様子であった爆豪は、舌打ちをして食堂に向かった

思い出したのか突然動き出し、自販機から本来の目的であったのであろう缶コーヒーを、5本6本と多分に買った

それを両手に抱え、そそくさと教室に戻って行った僕は、まるで苦味を感じないのかやけ酒と同じ程度でグビグビと飲み干す

これでいいか…